SamsungのExynosプロセッサは何年も発熱に悩まされてきているが、同社は次世代Exynosチップの発熱問題解決に向けて、新たな冷却技術を取り入れる可能性が明らかになった。この新技術は、PCやサーバーで使用されている高性能な放熱技術をスマートフォン向けに最適化したもので、次世代Exynosプロセッサの性能向上と発熱抑制に大きな期待が寄せられている。
Samsungの新冷却技術「FOWLP-HPB」とは
Samsungの今年のExynos 2400はまともなフラッグシップ・プロセッサーだが、Qualcomm Snapdragonの同等品よりも少し熱く動作し、スロットリングの問題がある。Exynos 2200については過熱の問題から多くの顧客から批判が寄せられた。以降、Samsungはベイパーチャンバーを取り入れるなど、発熱問題に積極的に対処している。
今回新たにSamsungが、「FOWLP-HPB(Fan-Out Wafer Level Packaging Heat Patch Block)」と呼ばれる新しい半導体チップパッケージング技術の開発を進めていることが明らかになった。この技術の核心は、システムオンチップ(SoC)の上部にヒートパスブロック(HPB)と呼ばれるヒートシンクを配置し、放熱を促すことにある。
HPBは既にPCやサーバーなどではすでに使用されている技術だ。これをスマートフォン向けに応用することで、アプリケーションプロセッサ(AP)の発熱問題を効果的に制御することが可能になる。
Galaxy S23、S24では、ベイパーチャンバーを使用して発熱問題に対処してきた。ベイパーチャンバーはAP以外の主要部品全体の発熱も改善するのに対し、HPBはAPなどのSoCの発熱改善に特化している点が特徴だ。
この新技術の開発は、Samsungの先進パッケージ(AVP)事業チームが担当しており、2024年第4四半期までに技術開発と量産準備を完了する予定だ。
さらに、Samsungの関係者によると、翌年の第4四半期には、FOWLP-HPB よりも優れているとされる、HPBを付着させ、複数のダイを実装できるFOWLP-SiP(FOWLP-System-in-Package)と呼ばれる技術を開発中で、将来的には2.5D、3D形態の導入も視野に入れて研究開発を進めているという。
業界では、このFOWLP-HPB技術がSamsungの自社AP「Exynos」にまず適用されるのではないかと予想されている。後工程業界の関係者は、「Samsungが自社APを保有している以上、新技術開発時にExynosをテストベッドとして使用する確率が高い」と述べている。
この新技術が実用化されれば、オンデバイスAI技術の導入に伴って増大するAP性能要求に対応し、発熱問題を大幅に改善できる可能性がある。過去にGalaxy S22で発熱問題に直面したSamsungにとって、この技術は将来の製品の競争力強化に大きく寄与すると期待されている。
ただし、Exynos 2500については歩留まりの問題からGalaxy S25シリーズに搭載されないとの報道も出ているため、今後の行く末が心配される所でもある。
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