Qualcommが昨日発表したSnapdragon 8 Eliteは、同社が主張するように圧倒的な性能を誇るようだ。現在は削除されているYouTube動画によれば、リファレンスモデルのスマートフォンを用いたGeekbench 6のベンチマークテストにおいて、同チップセットは競合のAndroidプロセッサを大きく引き離す結果を示していることが明らかになっている。
驚異的なスペックを誇るリファレンスモデル
テストに使用されたリファレンスモデルは、最新鋭の仕様を備えている。24GBのLPDDR5X RAMを搭載し、動作周波数は4,800MHzに達する。さらに、6.73インチのWQHD+ AMOLEDディスプレイは120Hzでの動作に対応し、1TB UFS 4.0ストレージと3,900mAhバッテリーを組み合わせた完成度の高い構成となっている。
Geekbench 6におけるSnapdragon 8 Eliteの性能は、シングルコアスコアで3,230ポイント、マルチコアスコアで10,617ポイントを記録している。これは最新のMediaTek Dimensity 9400と比較して、シングルコアで14%、マルチコアで17%高いスコアである。特筆すべきは、直前のモデルであるSnapdragon 8 Gen 3との比較において、シングルコアで40%、マルチコアでは47%という劇的な性能向上を達成した点だ。
ちなみに、Appleの最新鋭チップ「A18 Pro」と比較すると、シングルコア・スコアではほぼ互角だが、マルチコア・スコアでは25%も高いスコアを記録していることになる。
チップセット | シングルコア・スコア | マルチコア・スコア | ||
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Snapdragon 8 Elite | 3230 | 10617 | ||
Apple A18 Pro (iPhone 16 Pro) | 3409 | 8492 | ||
Apple A18? (iPhone 16?) | 3114 | 6666 | ||
Dimensity 9400 (vivo X200 Pro) | 2811 | 9027 | ||
Apple A17 Pro (iPhone 15 Pro Max) | 2890 | 7170 | ||
Snapdragon 8 Gen 3 (Galaxy S24 Ultra) | 2150 | 6718 | ||
Exynos 2400 (Galaxy S24) | 1930 | 6061 | ||
Snapdragon 8 Gen 2 (Galaxy S23 Ultra) | 1928 | 5125 | ||
Tensor G4 (Pixel 9 Pro XL | 1963 | 4723 |
Snapdragon 8 Elite、Dimensity 9400、そしてA18 Proは、そのどれもがTSMCの最新の3nmプロセス(N3E)で量産されていることを考えると、Snapdragon 8 Eliteの性能は印象的なものだ。製造プロセスが同一であるにもかかわらず、これほどの差が付いたことは、Qualcommの設計力の高さを如実に示している
今回のベンチマーク結果は、QualcommがOryonコアの開発に賭けた戦略が見事に実を結んだことを示している。しかし、これはあくまでもリファレンスデザインでの結果であることに注意が必要である。実際の製品では、熱設計や電力管理の制約により、若干異なる性能を示す可能性がある。
Androidデバイスの性能競争は新たなステージに突入したと言えるだろう。今後、実際の製品でどこまでこの性能を引き出せるのか、市場の動向から目が離せない。
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