日本のゲーム開発スタジオTango Gameworksが、韓国の大手パブリッシャーKRAFTONに買収されることが明らかになった。この予想外の展開は、Microsoftが2024年初頭に実施したXbox部門の大規模な再編の余波を受けたものだ。
閉鎖の危機から一転、新たな船出へ
Tango Gameworksは、かつて『バイオハザード』シリーズで名を馳せた三上真司氏が2010年に設立したスタジオだ。その後、ZeniMaxメディアの傘下に入り、2021年にはMicrosoftによるZeniMax買収の一環としてXboxファミリーに加わった。しかし、今年初めにMicrosoftが断行した大規模なリストラの煽りを受け、閉鎖の危機に瀕していた。
そんな中、突如として発表されたのがKRAFTONによる買収だった。『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(PUBG)』で知られるKRAFTONは、プレスリリースを通じてTango Gameworks開発チーム全体の受け入れと、同スタジオの最新作『Hi-Fi Rush』のIP権利取得を明らかにした。
KRAFTONにとって、この買収は日本のビデオゲーム市場への初の本格的な投資を意味する。同社は「才能あるTango Gameworksのスタッフを迎え入れることは、当社のグローバル展開における重要な一歩です」と強調している。
『Hi-Fi Rush』は、Tango Gameworksが2023年にXbox独占タイトルとしてリリースしたリズムアクションゲームだ。ファンと批評家の双方から高い評価を受け、アニメーションとオーディオデザインで賞を獲得するなど、スタジオの新たな代表作として注目を集めていた。
Kraftonが特に『Hi-Fi Rush』のIPを買収の対象としたことは、同タイトルをフランチャイズ化する意図があることを示唆している。『Hi-Fi Rush』の今後の展開に期待が高まる一方で、Tango Gameworksの過去の人気シリーズ『サイコブレイク
』や『Ghostwire: Tokyo』のIPはMicrosoftに残ることになった。
KRAFTONとMicrosoftは、この移行をスムーズに進めるために協力していくとしている。KRAFTONは「Tango Gameworksチームが『Hi-Fi Rush』IPの開発を継続し、将来のプロジェクトを探求できるよう支援します」と述べ、スタジオの創造性とイノベーションを尊重する姿勢を示した。
一方、Microsoftも「Tango Gameworksのチームが引き続きゲームを制作できるようKRAFTONと協力しています」とコメント。既存のTango Gameworksのゲームカタログへの影響はなく、『The Evil Within』『Ghostwire: Tokyo』そして元の『Hi-Fi Rush』は、現在提供されているすべてのプラットフォームで引き続き利用可能であることを確認した。
この買収は、厳しい競争と度重なる人員削減に直面するゲーム業界において、珍しい朗報となった。Tango Gameworksという才能あふれるスタジオが存続の機会を得たことは、多くの関係者やファンに安堵をもたらした。
今後、Kraftonの傘下でTango Gameworksがどのような作品を生み出していくのか、そして『Hi-Fi Rush』フランチャイズがどのように発展していくのか、業界内外から大きな注目が集まっている。ゲーム開発の世界に新たな息吹をもたらすこの動きが、業界全体にどのような影響を与えるのか、その行方から目が離せない。
Sources
- KRAFTON: KRAFTON、ゲーム開発会社「Tango Gameworks」を事業継承
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