Appleが2024年9月17日にリリースしたiOS 18において、コントロールセンターが大幅に刷新された。2013年のiOS 7で導入されて以来、マイナーな変更を重ねてきたコントロールセンターだが、今回の更新で多くのユーザーが待ち望んでいた機能が追加され、使い勝手が格段に向上している。本稿では、この機能の詳細をご紹介しよう。
iOS 18コントロールセンターの主な変更点
iOS 18のコントロールセンターにおける1番の変化は、単一ページから複数ページへと拡張されたことだろう。ユーザーは滑らかにページを切り替えることができ、より多くのコントロールにアクセスできるようになった。デフォルトでは、お気に入り、ミュージック、ホーム、コネクティビティの4ページが用意されているが、ユーザーは自由にページを追加・カスタマイズすることが可能だ。
さらに注目すべき点は、Appleが第三者アプリケーションに対してコントロールセンターを開放したことである。これにより、サードパーティ開発者は自社アプリの機能をコントロールセンターに統合できるようになり、ユーザーエクスペリエンスの向上が期待できる。早くも一部のサードパーティアプリのコントロールが利用可能になっており、今後のアップデートでさらに多くのアプリが対応していくことが予想される。
カスタマイズ機能も大幅に拡張された。ユーザーは各コントロールのサイズを変更したり、ページ内での配置を自由に決定したりできるようになった。これにより、個々のユーザーのニーズに合わせて、より効率的にコントロールセンターを利用することが可能になった。また、ロック画面からもコントロールセンターを呼び出せるようになり、デバイスのロックを解除することなく素早くアクセスできるようになった。
新コントロールセンターの使い方と特徴
新しいコントロールセンターの使い方は、基本的には従来と同じだ。ロック画面またはホーム画面の右上隅から下にスワイプすることで呼び出すことができる。ただし、新たに追加されたページにアクセスするには、さらに長くスワイプするか、画面を上下にスワイプする必要がある。これにより、ユーザーは必要な機能に素早くアクセスできるようになった。
カスタマイズを行うには、コントロールセンター内の空いているスペースを長押しするか、左上の「+」ボタンをタップすると、「編集モード」に切り替わり、コントロールセンターの空いているスペースに薄い○印が表示されるので、ここをタップして新たなコントロールを追加するか、既存のコントロールをカスタマイズすることでカスタマイズが可能だ。
コントロールのサイズ変更は、編集モード中にコントロールの角をドラッグすることで行える。これにより、よく使う機能を大きく、あまり使わない機能を小さくすることで、画面スペースを効率的に活用できる。また、「+」アイコンをタップすることで、新しいページを追加することもできる。この機能により、ユーザーは必要な機能を論理的にグループ化し、整理することが可能になった。
サードパーティアプリの統合については、対応するアプリをインストールすると、自動的にコントロールセンターに追加されるものもあれば、手動で追加する必要があるものもある。アプリの設定やコントロールセンターのカスタマイズメニューから確認できる。これにより、ユーザーは自分が頻繁に使用するアプリの機能に、より素早くアクセスできるようになった。
さらに、ロック画面の左下と右下にあるクイックアクセスボタンも、ユーザーの好みに合わせてカスタマイズできるようになった。これらのボタンを長押しすると、フラッシュライトやカメラ以外の機能(計算機、翻訳、ダークモード切り替えなど)に変更することができる。この機能は特に、iPhone 16シリーズで導入されたキャプチャーボタンとの相乗効果が期待できる。カメラアプリへのアクセスがハードウェアボタンで可能になったため、ロック画面のクイックアクセスボタンを他の有用な機能に割り当てることができるようになったことは大きいだろう。また、例えばデフォルトのカメラアプリ以外に使っているカメラアプリがあるのならば、そちらに切り替えることも可能になった。
また、細かなところでは、コントロールセンターから電源オフが可能になった点も挙げられる。右上の電源アイコンを長押しすると通常の電源オフメニューが表示されるため、ここでiPhoneの電源を切ることが可能になった。
Xenospectrum’s Take
iOS 18のコントロールセンターの刷新は、Appleがユーザーの声に耳を傾け、長年の要望に応えた結果と言える。マルチページ化とサードパーティアプリの統合は、Android端末のユーザーが長らく享受してきた柔軟性をiOSにもたらし、両プラットフォーム間の機能差を縮めることに成功している。
特に注目すべきは、カスタマイズ性の向上だ。ユーザーが自身のニーズに合わせてコントロールセンターをカスタマイズできるようになったことで、iPhoneの使い勝手が格段に向上すると予想される。また、ロック画面からのアクセスや、クイックアクセスボタンのカスタマイズ機能は、デバイスの操作性を向上させる重要な一歩だと言える。
しかし、この大幅な変更には課題もある。多くの新機能や設定オプションは、一部のユーザー、特に技術に詳しくない人々にとっては複雑に感じられる可能性がある。Appleは、これらの新機能をいかに直感的に使いやすくするか、そして新しいユーザーインターフェースをどのように効果的に説明するかという課題に直面するだろう。
とは言え、iOS 18のコントロールセンターの刷新は、iPhoneユーザーエクスペリエンスの大きな進化であり、Appleのソフトウェア開発における柔軟性と革新性を示す好例となっている。今後のアップデートで、さらなる改善と最適化が行われることを期待したい。
コメント