マーケット調査会社のIDCによると、PC市場は2024年第1四半期の回復に続き、第2四半期もプラス成長隣、7四半期連続の減少から脱却し、2四半期連続でのプラス成長となったことが明らかになった。IDCの速報によると、世界のPC出荷台数は前年同期比3.0%増の6,490万台に達し、市場回復の兆しが見え始めているという。
AI PC需要や買い換えサイクルなど回復には複合的な要因が絡む
IDCのワールドワイドデバイストラッカーグループバイスプレジデントのRyan Reith氏は、市場の現状について次のように述認識をまめている。
「PC市場は他の技術市場と同様に、成熟化や逆風など、短期的な課題に直面しています。しかし、2四半期連続の成長に加え、AIパソコンへの市場の期待感、そして地味ではあるものの重要な企業向けリフレッシュサイクルが、PCマーケットに必要だったようです。注目はAIにありますが、非AIパソコンの購入も多く発生しており、この成熟市場にポジティブな兆しをもたらしています」。
市場の成長を後押しした要因として、以下の点が挙げられる:
- AI PCへの期待:各メーカーがAI PCの戦略を発表し、特に企業市場での短期的な需要増加が見込まれている。
- 企業向けリフレッシュサイクル:従来型のPC更新需要も市場を支えている。
- 消費者向けプロモーション:一部のブランドやチャネルによる販促活動が消費者セグメントを押し上げた。
- 平均販売価格の上昇:昨年の在庫過多による底値からの脱却、高性能モデルの需要増加、割引の減少により、平均販売価格が上昇している。
ただし、中国市場の低迷が全体の成長率を押し下げており、中国を除く世界市場では5%以上の成長を記録している点に注意が必要である。
主要メーカーの出荷台数と市場シェアは以下の通りとなっている:
順位 | 企業名 | 2Q24出荷台数 (百万台) | 2Q24市場シェア | 2Q23出荷台数 (百万台) | 2Q23市場シェア | 前年同期比成長率 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Lenovo | 14.7 | 22.7% | 14.2 | 22.5% | 3.7% |
2 | HP Inc. | 13.7 | 21.1% | 13.4 | 21.3% | 1.8% |
3 | Dell Technologies | 10.1 | 15.5% | 10.3 | 16.4% | -2.4% |
4 | Apple | 5.7 | 8.8% | 4.7 | 7.5% | 20.8% |
5 | Acer Group | 4.4 | 6.8% | 3.9 | 6.2% | 13.7% |
合計 | 64.9 | 100.0% | 63.1 | 100.0% | 3.0% |
注目すべき点として、Appleが20.8%という高い成長率を記録し、市場シェアを拡大している。一方、Dellは唯一マイナス成長となった。
今後のPC市場の展望について、IDCのワールドワイドモバイルデバイストラッカーのリサーチマネージャーであるJitesh Ubrani氏は、次のように述べている。
「企業向けリフレッシュサイクル以外にも、消費者向けブランドやチャネルによるプロモーション活動がセグメントを後押ししています。また、昨年の過剰在庫による底値価格を脱し、より豊富な構成と割引の減少により、平均販売価格の上昇が見られます」。
AI PCの展開については、現在は主にコンポーネント側と企業市場のポテンシャルに焦点が当てられているが、消費者市場でのストーリーはまだ完全には語られていない。業界は、Appleが今年後半に予想される製品発表でそのメッセージをけん引することを期待している。同時に、Qualcomm、Intel、AMDも消費者向けおよび企業向けAI PCについて注目を集める可能性が高いと見られている。
PC市場は成熟期を迎えつつあるものの、AI PCへの期待や企業向け需要の回復など、新たな成長要因が現れ始めている。今後は、これらの要因がどのように市場を牽引していくか、注目が集まるだろう。
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