OpenAIは動画生成AIモデル「Sora」で、世界に再び大きな衝撃を与えた。
Soraが生成したという動画は、驚く程自然な物で、これまでの類似の動画生成AIである、Runway等が出力した物と比べても違和感のないものであり、OpenAIが提示したサンプルの数々は魅力溢れる物だった。
このサンプルはOpenAIがSoraを用いて、映像クリエイターと共に作り上げた物であるとの触れ込みの下に公開され、映画製作の現場にも危機感を与える物だったが、そのサンプル動画の1つ、『Air Head』の制作者である、Shy Kidsのクリエイティブ・ディレクターPatrick Cederberg氏は、FXGuideに対し、少なくとも『Air Head』に関しては、印象的なシーンの作成にポストプロダクションによるいくつものVFX編集が必要だったことを語っている。
この短編は頭部が“風船”で出来ている風船男のSunnyが都市やオフィススペース、草原などを横断する様子がナレーションと共に映し出される印象的な作品だ。
だが、しかし、Cederberg氏によれば、この風船男の動画の製作は、恐らく多くの人々が想像しているような、「プロンプトを入力して出力させるだけ」のような簡単な物ではなかったという。SoraがキャラクターであるSunnyを表現したものの中には、人間の顔を風船に埋め込んだような、気色悪いものもあったという。また、Soraの生成する物に一貫性はなく、時には風船の色を間違えてしまうこともあり、Shy KidsのスタッフはAdobe AfterEffectsを使って風船を分離し、色を塗り直すこともあったようだ。
以下のように、Sunnyが公園で風船の頭を追いかけているシーンは修正の多い場面であり、風船はもともと黄色ではなく赤で描かれており、さらにスタッフは不要なアーティファクトを除去する必要があった。Soraが生成した動画では、必要ないはずのマネキンのような頭部がSunnyに付けられたりもしていたという。
また、Cederberg氏によれば、Soraはスローモーションで動画を生成する傾向があり、通常の映画やビデオクリップのような流れで出力する事に難儀したという。同氏はFXGuideの取材に対し、「大きなスローモーション・プロジェクトのように感じさせないために、タイミングを調整することがかなりありました」と語った。
とは言え、全体として、Cederberg氏はFXGuideに対し、Soraで「遊ぶことができたことは面白かった」と語っており、このツールをポジティブに捉えているようだ。
「非常に、非常にパワフルなツールです。私たちはすでに、それが私たちの既存のプロセスに組み込むことができるすべての方法を夢見ています」と、語っている。
しかし、他の生成AIプログラムと同様、Soraもまだまだその出力は予測不可能なようだ。OpenAIのデモは、そうでないと思わせたかもしれないが、Soraが昔ながらの人間の介入なしにスタジオで使えるムービークリップを生成するようになるには、まだ長い道のりがありそうだ。
Sources
- FXGuide: Actually Using SORA
コメント