Microsoftが開発中のWindows 11に、音声ファイルや動画内の特定の単語を検索できる新機能「Intelligent Media Search」が搭載される可能性が浮上した。この機能は、AIを活用して音声や動画の内容を自動的にテキスト化し、ユーザーが求める情報を素早く見つけ出すことを可能にするものだ。だが、その利便性と共に、ユーザーのプライバシーに関する問題も同時に懸念されるところだ。
Intelligent Media Search機能によって音声・動画内の単語を瞬時に検索が可能に
Intelligent Media Searchは、Windows 11 Canary Channel build 27695で言及が確認された機能だ。この機能は、PCに保存されているすべての音声ファイルと動画ファイルに関し、自動的にトランスクリプション(文字起こし)し、発言された単語を検索可能にする。
想定される使用シーンは多岐にわたる。例えば、録画された会議の中から特定の発言を探し出したり、YouTubeクリエイターが自身の動画ライブラリから特定のシーンを見つけ出したりすることが容易になる。また、特定のトピックに言及しているファイルを整理する際にも役立つ可能性がある。
この機能を利用するには、ユーザーの同意が必要となる。同意後、AIモデルがダウンロードおよびインストールされ、ローカルのメディアファイルのトランスクリプションとインデックス作成が行われる。これにより、コンテンツベースの検索が可能になるという。
プライバシー懸念と技術要件
しかし、この新機能の登場には懸念の声も上がっている。Microsoftが以前発表した「リコール」機能と同様に、プライバシーに関する問題が指摘されているのだ。
リコールは、ユーザーの作業内容を数秒ごとにスクリーンショットで記録し、後から検索可能にする機能だった。しかし、プライバシーへの懸念から導入が延期されており、2023年10月にInsider向けに再導入される予定となっている。
Intelligent Media Searchも同様の批判を受ける可能性がある。ユーザーのPCに保存された音声や動画の内容をスキャンすることで、Microsoftが個人情報を収集し、AIモデルの訓練やターゲット広告に利用するのではないかという懸念だ。また、このような機能自体がセキュリティリスクを伴う可能性も指摘されている。
まだ詳細は明らかにされていないが、Intelligent Media Searchの実装にはAI処理能力の高いハードウェアが必要になる可能性がある。リコールの場合、1秒あたり45兆回の演算(45 TOPS)が可能なNPU(Neural Processing Unit)を搭載したCopilot+ 対応PCが要件とされていた。Intelligent Media Searchも同様の要件が課される可能性がある。
Microsoftは現時点でこの新機能について公式な発表を行っていない。しかし、AIを活用した検索機能の導入は、ユーザーの利便性向上とプライバシー保護のバランスをどう取るかという難しい課題を浮き彫りにしている。Windows 11の進化と共に、この新機能がどのように実装され、ユーザーに受け入れられるか、今後の展開が注目される。
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