Microsoftは、Windows 11の必須要件であるTPM(Trusted Platform Module)2.0チップについて、「妥協できない基準(non-negotiable standard)」であると改めて強調した。Windows 10のサポート終了が2025年10月に迫る中、この姿勢は多くのユーザーのアップグレード計画に影響を及ぼす可能性がある。
TPM 2.0要件、譲歩なしの方針を堅持
Microsoftのシニアプロダクトマネージャー、Steven Hosking氏は、Windows 11におけるTPM 2.0の必須要件について、メインストリームサポートの終了後も緩和しない方針を明確にした。同氏によれば、TPMテクノロジーはWindowsのセキュリティを保護する上で極めて重要であり、Windowsエコシステムの将来を考える上でも不可欠な要素だという。
TPM 2.0チップは、暗号化キーや証明書の安全な保存、パスワードや機密データの保護、乱数生成エンジンの提供、データの暗号化・復号、デジタル署名の検証など、ハードウェアレベルでのセキュリティ機能を提供する。
2025年10月以降の影響
Windows 10は2025年10月14日にセキュリティアップデートが終了する。ユーザーには30ドルを支払って1年間のサポート延長を受ける選択肢があり、企業などの組織はさらに2年間の延長が可能となっている。
しかし、最も簡単で安価な解決策であるはずのWindows 11への無償アップグレードは、TPM 2.0要件により多くのアクティブPCで実行できない状況が続いている。特に、Intel第8世代Core CPU、AMD Ryzen 2000シリーズ、Qualcomm Snapdragon 850以降のプロセッサという要件は、TPM 2.0をサポートする複数世代のCPUも除外している。
Xenospectrum’s Take
Microsoftの「非妥協的」な姿勢は、セキュリティ重視の方針として理解できる一方で、現実的な課題を提起している。特に皮肉なのは、Windows Server 2025ではTPM 2.0が最小要件から除外されている点だ。これは「妥協できない」とされる要件が、実は状況に応じて柔軟に変更可能であることを示唆している。
企業の大規模なハードウェア更新を強制するこの方針は、特にコスト面で大きな負担となる。非公式な回避策は存在するものの、それらは予告なく使用できなくなるリスクを抱えている。Microsoftは「セキュリティ」を掲げているが、実質的にはハードウェアの強制的なリプレースメントサイクルを作り出していると見ることもできる。
Source
- Windows Tech Community: TPM 2.0 – a necessity for a secure and future-proof Windows 11
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