チリに建設中のベラルービン天文台に設置されるLSST(Legacy Survey of Space and Time)カメラが完成した。SLAC国立加速器研究所によって開発されたLSSTは、南半球の全天を10年に渡って監視する目となり、宇宙の物質エネルギーの約70%を占め、宇宙の膨張を加速させるダークエネルギーにまつわる長引く謎の解明に挑む。
「SLACのユニークなLSSTカメラが完成し、チリにあるルービン天文台の他のシステムとの統合が間近に迫っていることで、我々は史上最高の映画と、これまでに組み立てられた中で最も情報量の多い夜空の地図の制作を間もなく開始することになる」と、ルービン天文台建設ディレクターでワシントン大学のŽeljko Ivezić教授は声明で述べている。
LSSTカメラはまさに世界最大のデジタルカメラと言える。サイズはコンパクトカーほどの大きさで、口径8.4 m、重量は実に3,000キログラムとなる。カメラによって生成される画像は非常に大きく、画素数は32億画素にもなり、それらを適切に表示するには、378台の4K超高精細テレビを格子状に並べる必要がある。
カメラ自体には2つのレンズがある。最初のレンズは、このような目的で作られた者としては史上最大のもので、横幅1.5メートル。2つ目のレンズは幅90センチとなる。どちらももちろん特注で設計されたもので、2つ目のレンズは真空に保たれたレンズの焦点面を密閉するために使用される。
焦点面はカメラの心臓部である。これは201個のCCDセンサーでできている。仕組みとしては通常のデジタルカメラに見られるものと同様だが、CCDセンサーも特注品である。これらは5ミクロンの平面で、平面度のばらつきは人間の髪の毛の幅の10分の1以下である。ちなみに、紙の厚さは50ミクロンから100ミクロンだ。
「その画像は、満月の7倍の広さの空をカバーしながら、約25キロ先のゴルフボールを解像できるほど詳細です。何十億もの星や銀河が写ったこれらの画像は、宇宙の秘密を解き明かすのに役立つでしょう」と、SLAC教授でルービン天文台副所長兼カメラ・プログラム・リードのAaron Roodman氏は語る。
LSSTカメラが最初に何を撮像するかについては、まだターゲットは決まっていないが、大きな明るい銀河を含む空の一角になるだろうとRoodman氏は語った。また、最初のLSST画像の一般公開は、現在のところ来年の春を予定しているという。
「LSSTの最初の画像を見るのがとても楽しみです。私がLSSTカメラ・チームに参加した2011年1月からこのプロジェクトに携わっていますが、SLACでのプロジェクトの歴史はさらにさかのぼります。このカメラの完成と最初の画像は、長い間待ち望んでいたものです」と、彼は語った。
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