Elon Musk氏率いるAI企業xAIは、最新のフラッグシップAIモデル「Grok 3」を発表した。Grok 2比で計算能力が10倍に向上し、競合を凌駕する性能を誇る。推論能力を強化した「Big Brain」モードやAI深層検索「DeepSearch」など、新機能も多数搭載している。
計算能力と性能が大幅に進化したGrok 3
xAIは数ヶ月の開発期間を経て、Grok 3をリリースした。Grok 3はGrok 2の10倍以上の計算能力を有し、GPT-4oやGoogle Geminiといった競合モデルを上回る性能を持つと主張している。
xAIは、約20万基のGPUを搭載したメンフィスの巨大データセンターでGrok 3をトレーニングした。Musk氏は、Grok 3の開発にはGrok 2より10倍多くの計算資源が投入され、裁判記録などを含む拡張データセットが利用されたと述べている。
「Grok 3はGrok 2より桁違いに高性能だ」とMusk氏は月曜のライブ配信で語った。「真実を最大限追求するAIであり、たとえそれが政治的正しさと相容れなくても、真実を追求する」と、その性能に胸を張る。
各種ベンチマークで競合を凌駕
xAIによれば、Grok 3は数学問題のサンプルで性能を評価するAIMEや、博士レベルの物理・生物・化学の問題を用いるGPQAなど、各種ベンチマークでGPT-4oを上回るという。また、AIモデル同士を対戦させ、ユーザー投票で優劣を決めるChatbot Arenaでも、初期バージョンのGrok 3は高い競争力を示した。
推論能力を強化する「Big Brain」モード
Grok 3には「Grok 3 Reasoning」と「Grok 3 mini Reasoning」の2つの派生型があり、OpenAIのo3-miniやDeepSeekのR1のような「推論」モデル同様、問題を慎重に「考え抜く」能力を持つ。推論モデルは結果を出す前に厳密な事実確認を行い、誤りを防ぐ。
ユーザーはGrokアプリを通じて推論モデルを利用できる。Grok 3に「Think（思考）」を指示したり、難問には追加計算を行う「Big Brain」モードを活用したりできる。xAIは推論モデルが数学、科学、プログラミング関連の質問に最適だと説明する。
AIによる深層検索「DeepSearch」
Grokの推論モデルは、アプリの新機能DeepSearchを支える。DeepSearchはOpenAIのDeep Researchに相当するAI深層検索ツールだ。DeepSearchはネットとXを分析し、質問に応じた要約を生成する。
サブスクリプションと今後の展開
XのPremium+会員はGrok 3を先行利用できる。他の機能は新設のSuperGrokプラン（月額30ドルまたは年額300ドル）で提供され、追加の推論・DeepSearchクエリや無制限の画像生成が可能になる。
Musk氏は、近く（早ければ1週間後）Grokに「音声モード」を追加すると述べた。数週間後にはGrok 3モデルとDeepSearchがxAIのエンタープライズAPIに実装される。さらに数ヶ月後、xAIはGrok 2をオープンソース化する予定だ。
「次期版が完全公開されたら、旧版をオープンソース化するのが基本方針だ」とMusk氏は言う。「Grok 3が成熟・安定したら（おそらく数ヶ月以内）、Grok 2を公開する」。
XenoSpectrum’s Take
Grok 3の発表は、AIモデルの性能競争が激化する中、xAIが大きな一歩を踏み出したことを示す。計算能力の10倍向上は、AIの進化速度を如実に示しており、今後の発展が期待される。「Big Brain」や「DeepSearch」などの新機能は、AIの応用範囲を広げ、ユーザー体験を向上させる可能性を秘める。ただし、xAIの主張する性能や機能は、今後の第三者による検証が必要だろう。Grok 2のオープンソース化は、AIコミュニティ全体の発展に寄与することが期待される。
コメント