Googleの次世代スマートフォンPixel 10およびPixel 11に搭載される予定のプロセッサ、Tensor G5とTensor G6に関する詳細情報がリークされた。以前から噂されていた事だが、最も注目すべき点は、GoogleがSamsungからTSMCへと製造パートナーを変更することにある。この戦略的な転換により、性能の大幅な向上、バッテリー持続時間や発熱問題といった、現在のTensorチップが悩まされていた数々の問題も改善が期待されるという。
Tensor G5とG6、Appleのハイエンドチップと同じノードの3nmプロセスを採用へ
Android AuthorityのコントリビューターであるMishaal Rahman氏によれば、Googleの次期Tensor G5及びTensor G6チップはそれぞれTensor G5が「Laguna」、Tensor G6が「Malibu」というコードネームになると言う。これは、新しく更新されたAndroid Open Source Project(AOSP)のコードで発見されたことで明らかになった。
今回、業界インサイダーのKamila Wojciechowska氏が、Googleの「gChips」部門の内部文書の中に、これらのコードネームが用いられた記述が見られたとの事で、これにより、Googleの次世代チップに関するいくつかの詳細が明らかになった。
Tensor G5:iPhone 16 Proと同じ製造プロセスを採用
2025年に登場予定のPixel 10シリーズに搭載されるTensor G5(コードネーム「Laguna」)は、TSMCの3nmクラスN3Eプロセスで製造される。これは、Apple iPhone 16 ProのA18 ProチップやM4チップ、QualcommのSnapdragon 8 EliteやMediaTekのDimensity 9400など、現行の最先端チップと同一の製造プロセスである。
現行のTensor G4で採用されているSamsungの4nmクラス4LPEノードと比較して、効率性とパフォーマンスの両面で大幅な向上が見込まれる。この変更は、これまでPixelシリーズの弱点とされてきたバッテリー持続時間と発熱問題の解決に直接的な効果をもたらすと予想される。
Tensor G6:さらなる進化を遂げる次世代プロセス
2026年のPixel 11シリーズに搭載予定のTensor G6(コードネーム「Malibu」)は、これまで噂されていた様な2nmプロセスではなく、TSMCの次世代N3Pノードを採用するようだ。このプロセスは、Appleの2025年秋に登場予定のiPhone 17シリーズに搭載されるA19チップにも採用される見込みである。
N3Pノードは、既存の3nmプロセスから以下の改善を実現する:
- 周波数:同一リーク電流で5%向上
- 電力効率:同一周波数で7%改善
- チップ面積:4%削減
当初噂されていた2nmプロセスは採用されないものの、着実な性能向上が期待できる仕様となっている。
Googleの新たなチップ戦略
この製造プロセスの移行は、Googleのスマートフォン事業における重要な転換点となる。これまでのTensorチップは、常に競合他社から技術的に遅れを取っていた状況にあった。しかし、TSMCの最新プロセスノードを採用することで、Apple、Qualcomm、MediaTekといった主要競合と同等の製造技術を手に入れることになる。
ただし、Googleの幹部は「Tensorチップはベンチマークスコアを追求するのではなく、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指している」と述べており、純粋な性能競争ではなく、実用性を重視する姿勢を示していた。その姿勢が果たして最新プロセスで独自開発のチップを搭載したときにも変わらないかどうか見物である。
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