生成AIを活用した次世代検索エンジンを開発するPerplexity AIが、新たに5億ドルの資金調達を実施する最終段階にあることが明らかになった。この調達により同社の企業価値は90億ドルまで上昇する見込みである。複数の報道によると、米国を拠点とするベンチャーキャピタルのInstitutional Venture Partners (IVP)が今回のラウンドをリードしている。
AIによる次世代検索体験の実現へ
Perplexity AIの特徴は、従来のGoogle検索やMicrosoft Bingとは一線を画す検索体験の提供にある。同社の検索エンジンは、単なるリンクリストの提示ではなく、ChatGPTのような対話形式で検索結果を提供する。Web上の最新情報をリアルタイムに検索し、ユーザーの質問に対して自然な対話形式で回答を生成する技術は、次世代の検索体験として高い評価を得ている。
昨週にはOpenAIがChatGPTに検索機能を追加し、スポーツのスコア、株価、ニュース、天気予報などのリアルタイム情報の提供を開始。これは、Perplexityとの競争を意識した動きとして市場に受け止められている。
Perplexityは無料版に加え、より高度な機能を備えたプレミアムサブスクリプションを提供。さらに、企業向けには社内文書の検索機能を含む特別版も展開している。
パブリッシャーとの新たな共生モデルの構築
Perplexity AIは、コンテンツ利用を巡る課題にも積極的に取り組んでいる。New York Times、Forbes、Wiredなど主要メディアから著作権侵害の懸念が示されるなか、同社は7月にパブリッシャー向けのレベニューシェアモデルを導入した。このプログラムでは、Perplexityの検索結果で記事が引用され、広告収入が発生した場合、その一部をパブリッシャーに還元する仕組みだ。すでにFortune、Time、Entrepreneur、The Texas Tribune、Der Spiegelなど複数の主要メディアが参加を表明している。同社のチーフビジネスオフィサー、Dmitry Shevelenko氏は、1つの回答で同一パブリッシャーの記事を複数引用した場合、引用数に応じて収益配分が増加すると説明している。
市場における展望
90億ドルという評価額は、現在の年間収益と比較すると極めて高い水準にある。これは、検索エンジン市場におけるAI革命の潜在的な価値に対する投資家の期待を示すものといえる。長年GoogleとMicrosoftが支配してきた検索市場に、AIの進化という新たな変数が加わることで、市場構造の変革が起こる可能性が出てきた。Perplexity AIが示すパブリッシャーとの協業モデルは、AIとメディアの共存という業界全体の課題に対する一つの解答となる可能性を秘めている。ただし、今後の成長には広告収入の確立や企業向けサービスの拡大が不可欠であり、高評価を維持できるかは、これらの収益化戦略の成否にかかっているといえる。OpenAIやGoogleとの競争が激化するなか、独自の価値提供と収益基盤の確立が求められている。
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