Appleは2025年3月に第4世代のiPhone SEを発売する予定である事がBarclaysのアナリストによる調査で明らかになった。本モデルは大幅なデザイン変更を伴うとともに、初のApple製の独自5Gモデムを初搭載する重要な機種となる。これは、Qualcommへの依存を減らし、自社でのモデム供給体制を確立するというAppleの戦略的転換を示している。
デザインとハードウェアの大幅な進化
iPhone SE 4はこれまでの従来型デザインを一新し、iPhone 14に近いモダンな外観を採用するとされている。6.1インチのディスプレイ、ベゼルを最小限に抑えたデザイン、Face ID用のノッチが特徴で、ホームボタンやTouch IDは廃止される見込みだ。
内部にはA18プロセッサと8GBのRAMを搭載すると噂されており、Apple Intelligenceと呼ばれるAI機能の活用が可能になるとみられている。さらに、48MPのリアカメラを搭載することで、iPhone SEシリーズの写真性能が大幅に向上する可能性がある。
自社製5Gモデムへの移行
iPhone SE 4の最大の特徴は、Appleが設計した5Gモデム「Centauri」を初搭載する点だ。Appleは2018年以降、Qualcommとの法廷闘争を受け、自社モデムの開発に取り組んできた。このモデムはサブ6GHz帯の5Gネットワークをサポートする見込みだが、ミリ波対応が初期には見送られる可能性があり、地域によってはパフォーマンスが限定される可能性がある。
この自社モデムへの移行は、外部サプライヤーへの依存を減らしたいというAppleの意図を表している。しかし、Qualcommの確立された技術と比較して、この新コンポーネントが同等の性能を発揮できるかどうかは未知数だ。
サプライチェーンと市場への影響
iPhone SE 4に搭載されるApple製モデムは、将来的にフラッグシップモデルにも採用される予定で、2026年までに段階的な移行が見込まれる。この戦略は、製品性能やコスト効率を向上させるためにサプライチェーンを一元化するAppleの意図に沿ったものだ。
しかし、製造上の制約や競争の激しい5G市場の中で課題も多い。特にAppleのモデムがエコシステムにどれだけスムーズに統合されるかが、iPhone SE 4の成功を左右するだろう。
Xenospectrum’s Take
AppleがコストパフォーマンスモデルであるiPhone SEに自社製5Gモデムを初投入する判断は、戦略的な賭けだ。このモデムを「テストベッド」とするには適した選択肢だが、成功または失敗は、Appleの社内シリコン技術への評価に大きな影響を与える可能性がある。
また、ミリ波の非対応はコスト削減には役立つが、Qualcommの製品と比較して一歩遅れているとの印象を与えるリスクがある。加えて、デザイン変更やハードウェアの進化は歓迎される一方で、従来のSEモデルの形状を好むユーザーを遠ざける可能性もあるだろう。
それでも、この発売はAppleの独立性を追求する大胆な一歩であり、初期段階で問題が解決されれば、モバイル接続技術の業界基準を再定義する可能性もありそうだ。
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