ChatGPTがチャットボットから本格的なデジタルアシスタントへと進化を遂げようとしている。OpenAIは有料サービスのユーザーを対象に、リマインダーやタスク管理機能を提供する新機能「Tasks」のベータ版の提供を開始した。この機能により、ユーザーは将来の特定の時間に実行されるタスクをChatGPTに設定できるようになる。
「Tasks」が実現する新しいユーザー体験
新機能「Tasks」は、ChatGPT Plus、Team、およびProの有料サブスクリプションユーザーを対象としたベータ版サービスとして展開されている。この機能へのアクセスは、ユーザーインターフェース上でモデル選択から「4o with scheduled tasks」を選択することで可能となる。
タスク設定の実用例は多岐にわたる。毎朝7時の天気予報通知や、パスポートの有効期限確認といった個人的なリマインドから、プロジェクトの進捗確認、ニュースの配信解禁時刻の管理、予定された取材の通知まで、様々なシーンでの活用が想定されている。特筆すべきは、ChatGPTが過去の会話の文脈を理解し、関連するタスクの提案を行う機能を備えている点だ。ただし、この提案機能については、ユーザーの明示的な承認なしにタスクが作成されることはない仕様となっている。
Today we’re rolling out a beta version of tasks—a new way to ask ChatGPT to do things for you at a future time.
— OpenAI (@OpenAI) January 14, 2025
Whether it's one-time reminders or recurring actions, tell ChatGPT what you need and when, and it will automatically take care of it. pic.twitter.com/7lgvsPehHv
通知システムは複数のプラットフォームに対応している。デスクトップアプリケーション、Webブラウザ、モバイルデバイスのいずれからでも通知を受け取ることが可能で、ユーザーの作業環境を問わない柔軟な運用を実現している。タスクの管理については、チャットインターフェース内での直接的な操作か、Web版専用に設けられた「Tasks」セクションでの一括管理が可能となっている。ただし、タスク管理インターフェースについては現時点でWeb版のみの提供となっており、モバイルアプリからの管理機能は今後のアップデートが待たれる状況だ。
システムの制約として、同時に設定できるアクティブなタスクは最大10件という制限が設けられている。これは初期のベータ版における制限であり、OpenAIはユーザーの利用パターンやフィードバックを基に、この制限の見直しを検討している。タスクの種類としては、一回限りの通知と定期的に繰り返されるリマインダーの両方をサポートしており、ユーザーのニーズに応じた柔軟な設定が可能となっている。
In chat or through the tasks page under the profile menu, you can schedule tasks you want ChatGPT to do, such as send you a weekly global news briefing, get a daily personalized 15-minute workout, or set a reminder for the future. pic.twitter.com/RC0GkhcbNR
— OpenAI (@OpenAI) January 14, 2025
OpenAIによれば、このベータ期間中は特に機能の使用パターンの分析と改善に注力するとしている。研究チームは実際のユーザーの利用状況を詳細に観察し、機能の完成度を高めた上で、将来的には全てのChatGPTユーザーへの提供を検討しているとのことだ。
AIエージェントへの進化を示唆する新機能
この機能追加は、OpenAIがChatGPTをより高度なAIエージェントへと進化させる計画の一環である可能性が指摘されている。業界では、OpenAIが「Operator」と呼ばれる独立したAIエージェントの開発を進めているとの観測があり、Tasksはその前段階として位置づけられている。
リバースエンジニアのTibor Blaho氏は、OpenAIが「Caterpillar」というコードネームのプロジェクトを進めていることを発見した。これはTasksと統合され、特定の情報検索、問題分析、データ要約、Webサイトのナビゲーション、文書へのアクセスなどの機能を提供する可能性があるとされている。
生産性アプリ市場への影響
この動きは、Google カレンダー、Outlook カレンダー、Asana、Trello、Notionなど、既存の生産性向上アプリケーション市場に大きな影響を与える可能性がありそうだ。ChatGPTは既にコーディングや文章作成タスクの効率化、Web検索の統合などを実現しており、タスク管理機能の追加により、総合的な生産性向上プラットフォームとしての地位を確立しようとしている。
ただし、時間に依存する重要なタスクの信頼性については慎重な検証が必要だ。OpenAIがこの機能をベータ版として提供している理由の一つは、実際の使用状況からフィードバックを収集し、信頼性を向上させる必要があるためと考えられる。
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Meta Description
OpenAIがChatGPTに新機能「Tasks」を追加。リマインダーやタスク管理機能を実装し、AIアシスタントとしての機能を強化。将来的なAIエージェント展開への布石となる可能性も。既存の生産性アプリ市場への影響が注目される。
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