NVIDIAのJensen Huang CEOは、台北でTSMCのCC Wei会長との会談後、両社がシリコンフォトニクス技術の共同開発で提携することを発表した。この提携は、急増するAIワークロードに対応する次世代データセンターインフラの開発を加速することを目指した物だ。
技術革新への長期的取り組み
Huang CEOは記者会見で、この提携が技術的なブレークスルーを実現するまでには「数年を要する」と説明した。シリコンフォトニクスは、シリコンを光伝送媒体として使用する革新的な技術で、低消費電力、長距離伝送能力、コスト効率の高さが特徴とされる。
シリコンフォトニクスが注目されている背景には、AIアプリケーションの急速な普及に伴う電力消費や発熱と言った課題がかつてない程に重くのしかかってきている現状がある。この技術の開発が進むことで、データセンター間の帯域幅需要の増大に対応しつつ、サーバーとスイッチ間の接続効率を改善することが期待されている。
産業エコシステムの形成
TSMCはすでにシリコンフォトニクス分野で積極的な取り組みを展開している。同社は2024年5月、Ansys、Synopsys、Cadenceとの提携を通じて、シリコンフォトニクス統合システムの開発能力の強化を進めてきた。さらに、台湾のIC実装・検査サービスプロバイダーであるASE Technology Holdingとともに、Silicon Photonics Industry Alliance(SiPhIA)を組織。30社以上の台湾企業が参加する産業アライアンスを形成している。
一方、NVIDIAも2024年10月、シリコンフォトニクススタートアップのXscape Photonicsの4,400万ドルのシリーズA資金調達に参加。同社のChromXプラットフォームは、GPUの「エスケープ帯域幅」を最大化し、消費電力を削減、AI処理性能の向上を実現することを目指している。
業界筋によると、NVIDIAは2025年3月に開催予定のGTCカンファレンスで、Co-Packaged Optics(CPO)技術向けの光スイッチを発表する計画だという。これらのスイッチASICチップの量産は、TSMCが2025年8月に開始する見通しとされている。
この提携は、AIインフラストラクチャの進化における重要なマイルストーンとなる可能性を秘めている。特に、AI時代における電力効率の改善という課題に対する両社の戦略的なアプローチを示すものとして、業界から注目を集めている。
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