Intel社は2024年第4四半期の決算発表に合わせ、主力製品の開発計画に重要な変更を加えることを発表した。AI向けGPU「Falcon Shores」の商用化中止と次世代Xeonプロセッサ「Clearwater Forest」の発売延期が決定され、同社の製品戦略に大きな転換が起きている。
Falcon Shores計画の終焉とAI戦略の転換
暫定共同CEO のMichelle Johnston Holthaus氏は、当初AI・HPC市場向けに開発を進めていたFalcon Shores GPUについて、市場投入を断念し、内部テストチップとしてのみ活用する方針を明らかにした。同プロジェクトは、CPUとGPUを統合したXPUとして構想され、その後Intelのグラフィックス技術と買収したHabana社のAI技術を組み合わせたGPUとして開発が進められていた。
Holthaus氏は「業界からのフィードバックに基づき、Falcon Shoresを内部テストチップとして活用し、後継となるJaguar ShoresでAIデータセンター向けのラックスケールソリューションを開発する」と説明している。この決定は、同社のAIデータセンター市場での苦戦を反映したものと見られる。
Clearwater Forest開発の遅延とXeon戦略の見直し
Falcon Shoresの中止と共に、次世代Xeonプロセッサ「Clearwater Forest」の市場投入時期が2026年前半まで延期されることが決定した。同製品は、Intel初の18A(1.8nmクラス)プロセスノードを採用する予定のデータセンター向け製品の一つとして注目されていた。
Holthaus氏は延期の理由について、Eコア(効率重視のコア)を多数搭載したXeonプロセッサの市場が「想定よりもニッチ」であり、「期待したほどの需要が顕在化していない」と説明している。
新世代プロセッサ「Nova Lake」の発表
一方で同社は、2026年に投入予定の次世代クライアント向けプロセッサ「Nova Lake」の開発計画について、新情報を明らかにした。Holthaus暫定共同CEO は、Nova Lakeについて「PCスタック全体で強力なパフォーマンスを提供し、大幅に改善されたコストとマージンを実現する」と述べ、同社の競争力強化への自信を示した。
製造戦略の面で特筆すべきは、Nova Lakeが Intel社内の製造施設と外部ファウンドリーの両方を活用して生産される計画という点である。これは前世代の「Panther Lake」が主にIntel社内で製造される方針とは異なるアプローチとなる。この判断の背景には、Intel Product部門のCEOとしてのHolthaus氏の「顧客にとって最善となる製造技術の選択を常に行う」という方針が反映されている。
さらにHolthaus氏は、2026年をPC事業にとって「さらなる飛躍の年」と位置付け、Panther Lakeが意味のある出荷量に達する中でNova Lakeを投入することで、パートナーや顧客に対する価値提案を強化できると説明している。これはAMDやQualcommとの競争が激化する中、Intel社が製品競争力と収益性の両立を目指す姿勢を示すものといえる。
Source
コメント