NVIDIAの最新ハイエンドゲーミングGPU「GeForce RTX 5090」で、電源コネクタが融解する問題が報告されている。初期の原因はユーザーのケーブルにあるとされていたが、詳細な調査により、不均一な電流配分が原因である可能性が浮上しているようだ。
RTX 5090で再び電源コネクタが融ける事例が発生
先日、RTX 5090の電源コネクタが溶解するという事例が報告され、再び懸念が浮上している。この問題は、NVIDIAが16ピンの12VHPWRコネクタを初めて導入したRTX 40シリーズでも発生しており、ユーザーからは不安の声が上がっていた。当初、RTX 40シリーズでの問題は、コネクタの不完全な挿入やケーブルの過度な屈曲などが原因とされていたが、今回のRTX 5090では、より深刻な問題が潜んでいる可能性が指摘されている。
RTX 5090FE Molten 12VHPWR
byu/ivan6953 innvidia
サードパーティー製ケーブルが原因か?初期の憶測と反論
最初にこの問題が報告された際、Redditユーザーがサードパーティー製MODDIYケーブルを使用していたことから、ケーブルの品質に問題があるという見方が広まった。しかし、オーバークロックの専門家として知られるYouTuberのDer8auer氏が、被害者から問題のグラフィックボード、電源ケーブル、PSUを入手し、詳細な調査を行った結果、事態はより複雑であることが判明した。Der8auer氏は、MODDIYケーブルの品質は高く、今回の問題の原因とは断定できないとの見解を示している。
Der8auer氏の調査によると、融解したケーブルの特定のワイヤーが著しく損傷しており、他のワイヤーよりも状態が悪いことが確認された。さらに、Der8auer氏自身のRTX 5090 Founders Editionを用いて検証実験を行ったところ、6本の12Vケーブルのうち1本に22Aを超える電流が集中していることが判明した。これは、1本のピンあたり最大9.5Aという12VHPWRおよび12V-2×6規格の安全基準を大幅に超える数値だ。温度も150℃以上に達し、安全限界を超えていることが明らかになった。
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電流クランプを用いた測定では、他の5本のワイヤーの電流値は、2A(24W)、5A(60W)、11A(132W)、8A(96W)、3A(36W)とばらつきが見られた。この結果から、一部のワイヤーに過剰な電流が集中し、発熱、そして溶解に繋がった可能性が高いと考えられる。Der8auer氏はこの現象を再現しており、今回の問題が単一の事例ではない可能性を示唆している。
業界専門家の意見:対照的な見解も
一方で、HardwareluxxのシニアエディターであるAndreas Schilling氏は、自身のテストではDer8auer氏ほど大きな電流値のばらつきは見られなかったと述べている。また、電流値を個々のピンレベルでモニタリングできるのは、現時点ではASUSの一部のハイエンドモデル(RTX 4090 Matrix、5080 Astral、5090 Astral)に限られるという情報もあり、このことは、問題の特定と原因究明をさらに複雑にしている要因の一つと言えるだろう。
NVIDIAからの公式コメントは未だなし
NVIDIAは、この件に関して公式なコメントをまだ発表していない。RTX 5090は、より安全とされる12V-2×6規格のコネクタを採用しているにもかかわらず、このような問題が発生したことは、NVIDIAにとっても予想外だった可能性がある。以前、NVIDIAは新しいGPUファミリーで同様のシナリオに遭遇することは「ありえない」と述べていた。しかし、今回の事例は、その見解とは異なる現実を示している。
Sources
- Reddit: RTX 5090FE Molten 12VHPWR
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