Appleが地図アプリ「マップ」への広告導入を検討していることがBloombergによって報じられている。Google Mapと同様の広告モデル導入は、ユーザー体験を損なう可能性があり、特にAppleユーザーからの反発も予想されそうだ。
Apple マップへの広告導入検討が浮上
Bloombergが複数の情報源からの情報に基づくものとして報じるところでは、Appleがマップへの広告導入を再び検討し始めたようだ。Bloombergの著名なジャーナリスト、Mark Gurman氏によると、Appleはサービス部門の収益強化策として、以前棚上げされていた広告モデルの導入を再検討している。
Appleのマップアプリは、リリース当初こそ不具合が多かったものの、その後の改善によりGoogle Mapの有力な競合となり、一部機能ではGoogle Mapを凌駕するとも評価されている。しかし、広告という“Google Mapの最悪の機能の一つ”を導入することによってユーザー体験が低下するのではないかという懸念の声も上がっている。
広告が導入される場合、そのモデルはGoogle Mapと同様に、企業が広告料を支払うことで検索結果の上位に表示される形式が有力視されている。例えば、レストラン検索において、広告料を支払った店舗が上位に表示されるようになり、ユーザーは必ずしも最適とは言えない選択肢を提示される可能性がある。例えば、最高の飲食店を探したいユーザーが、広告によって上位に押し上げられた質の低い場所に誘導され、より良い選択しを見逃す可能性があるだろう。
サービス収益強化に向けた新たな一手
Appleが広告事業に注力する背景には、サービス部門の収益拡大という明確な目的が存在する。iPhoneの販売成長が鈍化するなか、同社は2015年以降サービス部門に注力してきた。App Store、Apple Music、TV+、Fitness+などのサービス部門は、Appleの収益源としてますます重要性を増している。
決算発表によれば、Appleのサービス部門の収益は2024年第3四半期には約250億ドルに達し、この成長戦略が成功していることを示している。広告はApp Store、Apple News、株価アプリなど、既存のApple製アプリにも既に導入されており、広告事業の拡大は自然な流れと言える。
ユーザーの反応:プレミアムな価格に見合う価値はあるか?
Apple マップへの広告導入の可能性について、ユーザーからは懸念の声が上がっている。TechnoPixelは、「広告付きの体験ではなく、広告のない利用を求めてApple製品を選んでいる」というユーザーの声を紹介し、高価格なハードウェアを購入しているユーザーが、さらに広告にさらされることへの不満を伝えている。
ただし、一部のユーザーは、マップのような複雑なサービスを維持するためにはコストがかかり、広告はやむを得ない現実であると認識しているという意見もある。とはいえ、やはり全体的には失望と反発の声が大きい。
Appleのプライバシーへの配慮は?
興味深い意見として、TechRadarは、AppleがGoogleよりもユーザープライバシー保護に注力している点を考慮すべきだと指摘する。Appleのマップは、セッションごとにランダムな識別子を割り当てるなど、ユーザーのプライバシー保護に一定の配慮を行っている。
しかし、TechRadarは「Appleが過去の行動に基づいてユーザープライバシーを尊重すると仮定しているが、多額の金銭が絡む場合、企業がどこまで良心的であるかは保証の限りではない」と述べ、広告導入によってAppleのプライバシー保護姿勢が変化する可能性も指摘している。
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