ダークモードは本当に省エネか？BBCの研究が示す意外な真実

2025年2月22日

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省エネ効果が期待されるスマートフォンの「ダークモード」だが、BBCの調査によると、ユーザーの利用実態によっては逆に消費電力が増加する可能性が示唆された。本記事では、ダークモードの真の省エネ効果と、デバイスの電力消費を減らすためのより効果的な方法について解説する。ネルギー消費に関する新たな知見を解説する。

ダークモード神話の落とし穴：ユーザー行動が省エネ効果を打ち消す

近年、多くのデバイスやウェブサイトで採用されているダークモードは、画面の明るさを抑えることで消費電力を削減する効果が期待されている。しかし、BBC Research & Development（R&D）が行った調査によると、この一般的な認識とは異なる結果が明らかになった。

調査では、参加者にBBC Soundsのホームページをライトモードとダークモードで表示させ、それぞれ快適な明るさに調整してもらう実験を実施した。その結果、驚くべきことに、参加者の80%がダークモード表示時に明るさを大幅に上げる傾向が確認されたのだ。

明るさ調整による「リバウンド効果」

BBC R&DのエンジニアであるZak Datson氏は、「ダークモードは、一部のデバイスでは消費電力を削減できるという研究結果があるが、それは実験室レベルの話だ」と指摘する。実際の利用環境では、ユーザーはダークモードの画面が見づらいと感じ、明るさを上げてしまうことがある。

明るさを上げると消費電力は増加するため、結果的にダークモードが省エネにつながらない、あるいは逆にエネルギー消費を増やす「リバウンド効果」が生じることが今回の調査で示唆された。

この研究は、2017年製のMacBook Pro (LCDディスプレイ) を使用して行われた。黒表示では完全に消灯される有機ELディスプレイでは異なる結果が出る可能性はあるものの、LCDディスプレイが依然として主流であることを考えると、ダークモードの省エネ効果は限定的である可能性が高い。

Webサイトの最適化とエネルギー効率の誤解

さらに調査チームは、Webサイトの表示速度やデータ転送量とエネルギー消費量の関係についても検証した。一般的に、表示速度が速いWebサイトやデータ転送量が少ないWebサイトはエネルギー効率が高いと考えられがちだが、調査の結果、これらの間に明確な相関関係は見られなかった。

Webサイトのエネルギー消費量を推定する際、データ転送量が指標として用いられることがある。しかし、BBCの研究では、データ転送量と実際のエネルギー消費量の相関関係も低いことが示された。

Datson氏は「Webサイトのパフォーマンスを最適化することが、必ずしもエネルギー効率の向上に繋がるわけではない」と述べ、従来のWebサイト最適化の手法が、必ずしも省エネに貢献するとは限らないことを指摘している。

例えば、COP28のWebサイトには「低炭素バージョン」への切り替え機能があるが、BBCの調査では、場合によっては低炭素バージョンの方がエネルギー消費量が多くなるケースもあった。

ユーザーができる省エネ対策：デバイスと利用方法の見直し

今回の調査結果を踏まえ、BBC R&Dはユーザーができる現実的な省エネ対策として以下の点を推奨する。

画面の明るさを下げる: 画面の明るさを最大から最小にすることで、消費電力を大幅に削減できる。
小型デバイスの利用: スマートフォンやタブレットなど、画面の小さなデバイスは、一般的に消費電力が少ない傾向にある。
デバイスの長期利用: 新しいデバイスの製造には環境負荷がかかるため、既存のデバイスを長く使うことが重要だ。

Datson氏は「単純な省エネの定説が、現実の世界では複雑な様相を呈することが今回の調査で明らかになった」と述べ、Webの持続可能性に関するガイドラインは、個々の利用状況を考慮した上で慎重に適用されるべきだと提言している。

XenoSpectrum’s Take

今回のBBCの研究は、ダークモードの省エネ効果、Webサイトのパフォーマンスとエネルギー効率の関係、データ転送量とエネルギー消費量の関係について、従来の通説を覆す興味深い結果を示している。

特に、ダークモード利用時の「リバウンド効果」は、ユーザーの行動がテクノロジーの省エネ効果に大きな影響を与えることを示す好例だ。テクノロジーを設計する際には、技術的な側面だけでなく、ユーザーの行動や心理も考慮に入れる必要がある。

BBC R&DのエンジニアであるZak Datson氏は、「多くの人が環境に配慮した行動を取ろうとしているのは素晴らしいことですが、一般的なサステナビリティに関する推奨事項の中には、単純化しすぎていて、意図した通りに機能しないもの、あるいはダークモードのように、実際にはより多くのエネルギーを消費してしまうものもあります」と述べている。

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