AMDが次世代フレーム生成技術「Fluid Motion Frames 2.1」(AFMF 2.1)の開発を正式に確認した。この新技術は生成フレームの品質向上に焦点を当て、既存ハードウェアとの互換性を維持しながらNVIDIAの「Smooth Motion」に対抗する狙いがある。
品質向上に焦点を当てたAFMF 2.1
AFMF 2.1は、昨年7月に導入されたAFMF 2.0からの進化版となる。AMDによると、この新バージョンは主に「生成フレームの品質向上」を目指しており、これはAFMF 2.0ユーザーから指摘されていたアーティファクト(画像の乱れ)や画質の問題に対応するものだ。
AFMF(AMD Fluid Motion Frames)は、ドライバレベルで動作するフレーム生成技術として開発された。この技術はゲーム開発者による個別実装を必要とせず、Vulkan、DirectX 11/12、OpenGLで動作するゲームであれば、開発が終了した古いタイトルでもフレームレート向上効果が得られる点が大きな特徴となっている。
新技術はAMD Software: Adrenaline EditionドライバパッケージのHYPR-RXソフトウェアスタックのアップデートとして提供される予定だ。HYPR-RXはアップスケーリングとフレーム生成を組み合わせてゲームパフォーマンスを向上させるAMDの総合的なソリューションである。
ハードウェア要件と互換性
AMDは、AFMF 2.1が特別なTensorコアやAIコアを必要としないことを確認している。これはAFMF 2.0と同じハードウェアで動作することを意味し、以前の世代のAMD Ryzenプロセッサや、Asus ROG Ally Xなどのゲーミングハンドヘルドなどでも利用可能になる見込みだ。Ryzen AI 300シリーズプロセッサとの互換性も確保されている。
これは、NVIDIAのDLSSやAMD自身のFSR 3といった技術が、特定のAIハードウェアやゲーム毎の個別実装を必要とする点と比較して大きく異なる。AFMFはドライバレベルで動作するため、より広範なゲームとハードウェアで利用できる利点がある。
一方、AFMFはメニューやUIを含む画面全体をアップスケールおよびインターレースするため、品質面での課題も指摘されている。AFMF 2.1はこれらの課題に対応することが期待されている。
NVIDIAとの競争激化
AMDのAFMF 2.1開発は、NVIDIAがRTX 50シリーズと共に導入した「Smooth Motion」への対抗策と見られている。両技術はどちらもドライバ/ソフトウェアレベルで実装されているが、ベンダー間のクロス互換性はない。
GPUの世界では競争が激化しており、NVIDIAが一部のRTX 50シリーズカードをすでにリリースする中、AMDもRadeon RX 9070シリーズでの反撃を準備している。AFMF 2.1は、この新GPUの魅力を高める重要な要素となりそうだ。
興味深いことに、報道によるとNVIDIAはRTX 5070の発売日をAMDのRadeon RX 9070の予想発売日の前日に遅らせたとされ、両社の競争の激しさを物語っている。
リリース時期と今後の展望
AMDはAFMF 2.1の正確なリリース日を発表していないが、Radeon RX 9070シリーズGPUのローンチに合わせて登場する可能性が高い。なお、RX 9070は3月初旬のリリースが見込まれている。
AFMF 2.1の導入は、特に古いゲームや独自のフレームレート向上技術を持たないタイトルを楽しむゲーマーにとって朗報となるだろう。AMDはこの技術でNVIDIAに対する競争力を高め、ミドルレンジからハイエンドまでのGPU市場でのポジションを強化することを目指している。
Source
- VideoCardz: AMD preparing Fluid Motion Frames 2.1 (AFMF)
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