Samsungは2025年に向けて消費者向けストレージの新たな旗艦モデルとなるPCIe 5.0対応NVMe SSD「9100 PRO」を正式発表した。前世代の990 PROから性能を倍増させ、同社初となる8TB大容量モデルも加わった新シリーズは、3月18日から順次発売される。
990 PROから性能倍増、第5世代PCIeの能力を最大限に活用
9100 PROは、Samsungの消費者向けSSDラインナップの新たな最上位モデルとして登場し、最新のPCIe 5.0インターフェース(第5世代PCI Express)を採用している。これにより、シーケンシャル読み取り速度は最大14,800MB/s、書き込み速度は最大13,400MB/sという驚異的な転送性能を実現した。これは前モデルである990 PROと比較して「99%の性能向上」と説明されており、実質的に転送速度が約2倍になったことを意味する。
ランダムアクセス性能も飛躍的に向上しており、読み取りは最大2,200K IOPS(1秒あたりの入出力操作数)、書き込みは最大2,600K IOPSを達成。この高いランダム性能は、OS起動やアプリケーション読み込み、多数の小さなファイルの処理など、日常的な操作の体感速度向上に直結する。
同社によれば、9100 PROは990 PROと比較して電力効率も49%向上しているという。PCIe 5.0デバイスは一般的に消費電力と発熱の増加が課題とされる中、効率改善は注目すべき進化と言える。
PCIe 5.0の課題「発熱」に対応、8TBモデル用に特別設計のヒートシンク採用
PCIe 5.0 SSDの最大の課題とされる高い発熱に対し、9100 PROは先進的な熱管理ソリューションを採用している。1TB〜4TBモデルには8.8mmT(ミリメートル厚)のヒートシンクが標準搭載され、8TBモデルには特別設計された11.25mmTの大型ヒートシンクが採用されている。これは4TBまでのモデルと比べて約27.85%厚く、大容量化に伴う発熱増加に対応するための工夫だ。
この熱対策により、高速パフォーマンスを長時間維持しながら、過熱によるパフォーマンス低下(サーマルスロットリング)を防止する役割を果たす。特にAIを活用したコンテンツ制作や最新ゲームプレイなど、ストレージに負荷がかかる作業においても安定したパフォーマンスを発揮することが期待される。
Samsung初の消費者向け8TB NVMeモデル、2025年後半に登場
9100 PROシリーズは1TB、2TB、4TB、そして8TBの4つの容量バリエーションで展開される。特筆すべきは8TBモデルで、これはSamsungの消費者向けNVMe SSDとしては史上初の大容量モデルとなる。大容量ファイルを扱うクリエイターやデータ保存量の多いゲーマーにとって朗報と言えるだろう。
発売スケジュールは容量によって異なり、1TB、2TB、4TBモデルが2025年3月18日から発売開始される一方、8TBモデルは2025年後半に発売が予定されている。
価格についてはインドでの価格が公表されており、1TBモデルが14,999インドルピー(約25,000円)、2TBモデルが25,499インドルピー(約44,000円)、4TBモデルが49,999インドルピー(約85,800円)。円換算額はインド価格からの概算であるため、各地域での正確な価格は現地発表を待つ必要がある。8TBモデルの価格は現時点では未発表だが、発売時期が近づくにつれて公表されるとみられる。
ゲーム体験を進化させるDirectStorage対応、AI処理もスムーズに
9100 PROは、ノートPC、デスクトップPC、ゲーム機など幅広いデバイスでの利用を想定している。特にゲーミング用途では、Microsoft DirectStorage技術との組み合わせによる高速なゲームロード時間の短縮効果が期待できる。近年のゲームタイトルはファイルサイズが100GB超えも珍しくない状況で、高速なSSDによるロード時間短縮の恩恵は大きい。
また、AI処理を含む専門的なワークロードにも適しており、大量のデータを扱うマルチタスク環境での性能発揮が謳われている。付属ソフトウェアとして、Samsungの独自ユーティリティ「Magician」が提供され、パフォーマンス最適化、データ移行機能、高度なセキュリティ機能などを利用できる。
この9100 PROのリリースにより、Intel 13世代以降やAMD Ryzen 7000シリーズなどのPCIe 5.0対応プラットフォームを採用しているユーザーにとって、システム全体の性能を最大限に引き出すストレージオプションが新たに加わることになる。
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