初登場時は高価で手の届かなかったDDR5メモリも価格が下がり、一般ユーザーでも手が届きやすくなってきている。だが、市場調査会社TrendForceのレポートでは、こうした状況も今後は変わる可能性が示唆されている。それもこれも、全てはAI分野の需要の影響のようだ。
TrendForceの調査によると、AI用途で奪い合いになっている高帯域幅メモリ(HBM)への高い需要が他のタイプのDRAMの価格に影響を与える可能性があると言う。同社の予想では、今後DDR5メモリの価格は、15~20%の価格上昇が見られる可能性があるとの事だ。
HBMはDDR5の約5倍の価格であり、HBMへの現在の爆発的な需要を鑑みれば、メモリメーカーがこのメモリの増産に優先順位を振り分けるのも無理からぬ話だ。
HBMは、他のタイプのDRAMと比較して性能と容量で大きな利点を提供する一方で、製造が比較的困難であるため、HBMの追加生産は、DDR5を含む他のタイプのメモリの製造リソースを削減する可能性が高く、その結果、DDR5等のメモリの市場への供給が減少し、価格が上昇する可能性がある。
HBMは2025年にかけて、容量と市場価値の両面で、DRAM業界におけるシェアを「劇的に引き上げる」ものと予想されている。既にHBMの2大製造メーカーであるSK hynixとMicronは、HBMの供給が2024年全体と2025年のかなりの部分で完全に予約済みであると報告している。
TrendForceのシニアリサーチ・バイスプレジデントであるAvril Wu氏によると、DRAM総容量に占めるHBMのシェアは、2023年の2%から2024年には5%に上昇し、2025年には10%を超えると推定され、その市場価値は来年末までにDRAM市場全体の30%を超える可能性があるという。
同レポートは、HBM需要の年間成長率は今年200%近くに達し、2025年にはさらに倍増すると予測している。また、来年はHBM3eへのシフトが顕著になると報告されており、レポートでは12Hiスタック製品の増加を予測している。この変更により、チップあたりのHBM容量が増加することが予想され、AIソリューション・プロバイダーにとっては歓迎すべき状況にもなるだろう。
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