IntelはASMLが製造したHigh-NA EUVリソグラフィ装置を世界で初めて購入し、自社工場に導入した企業となったが、どうやらそれのみならず、ASMLが今年製造する全てのHigh-NA EUVリソグラフィ装置を確保しており、ライバルにこの最先端テクノロジーが渡らないようにしているようだ。
TheElecの報道によると、ASMLは現在、年産5、6台のHigh-NA EUVリソグラフィ装置を生産する能力を持っているが、Intelは2024年に生産が予定されている5台すべてを確保したという。この最先端装置の1台の価格は約3億7000万ドル(570億円)と巨額な物だ。もし5台全てがこの価格で購入されたとなると、その総額はそれだけで18億5,000万ドル(2,870億円)にもなる。なお、Intelがこれだけの数のマシンをどこに設置するのかは不明である。
そのため、ライバルのSamsungや、同様にHigh-NA EUVリソグラフィ装置の購入を考えている韓国SK hynixがこの装置を手に入れるには、2025年後半まで待たなければならないとのことで、Intelはライバルに対して大きなアドバンテージを持つ事になる。
Intelは2024年1月にASMLから最初のHigh-NA EUVリソグラフィ装置「TWINSCAN EXE:5000」を受け取り、オレゴン州にある装置の組み立ては4月中旬に完了した。TWINSCAN EXE:5000は、この種のものとしては初の商業用リソグラフィ装置であり、Intelは以前、この装置を使用して外注ウェーハの総数を削減する計画であると述べていた。
IntelのTWINSCAN EXE:5000が完全に稼働するのは2025年以降になる見込みだ。同社は、このマシンを新たなIntel 14Aプロセスの生産に使用すると発表しているが、これは2026年以降になる予定だ。恐らく生産工程の大部分には通常のEUVリソグラフィーを使用し、高NAマシンはチップの特定の部分で最もメリットがある場合にのみ使用されるのだろう。
Intelは、2023年に70億ドルの営業損失を計上し、苦境に立たされているファウンドリー事業が、この装置によって形勢逆転に転じることを期待している。
同社のHigh NA EUV装置は、摂氏約22万度に加熱された錫の液滴にレーザーを当てることで、自然界には存在しない波長13.5nmの光を発生させる。この光は、回路パターンのテンプレートを含むマスクに反射され、これまでに製造された中で最も精度の高いミラーで作られた光学系を通過する。開口数 (NA) 0.55 の新しい光学系は、より高いコントラストを提供し、わずか8nmの解像度での印刷を可能にする世界唯一の装置である。
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