Googleはこれまで、開発者会議「Google I/O」においてAndroidの次世代バージョンで行われる様々なアップデート内容を紹介し、同時にベータ版のリリースを行っていたが、今年は少し趣が異なるようだ。Google I/Oの初日、Android 15についてはほとんど触れられず、ベータ版のリリースも発表されなかったが、翌日となる本日GoogleはAndroid 15のパブリックベータ版の第2弾をリリースした事を発表した。
既にGoogleはAndroid 15のリリースまでのタイムラインを共有しており、4月の最初のパブリックベータ版のリリース、今回の第2弾と予定通りに開発は進んでいるようだ。来月の第3弾パブリックベータ版から「プラットフォームの安定版」という形で仕様が固まり、今週の正式リリースに向けて開発が進んでいく形となる。
Android 15 ベータ2は以下のPixelデバイスをお持ちの方は本日から試すことが可能だ:
- Google Pixel 6
- Google Pixel 6 Pro
- Google Pixel 6a
- Google Pixel 7
- Google Pixel 7 Pro
- Google Pixel 7a
- Google Pixel Fold
- Google Pixel Tablet
- Google Pixel 8
- Google Pixel 8 Pro
加えてGoogleは、Honor、iQOO、Lenovo、Nothing、OnePlus、OPPO、Realme、Sharp、Tecno、vivo、Xiaomi などのパートナーのスマートフォンやタブレットでもAndroid 15のベータ版を利用できる様にしたことを報告している。これまでPixelスマートフォンでのみ、いち早くベータ版を試す事が出来ていた事からすると大きな進展だ。対象のデバイスをお持ちの方は試してみるのも良いかも知れない。ただし、あくまでもベータ版であるため安定性に欠ける面もあるため、その点については注意が必要とGoogleは述べている。また、インストール方法もPixelスマートフォンに比べると手間がかかる点も注意が必要だ。
今回の第2弾パブリックベータ版ではいくつかの新たな機能の追加や、パフォーマンスの向上などが図られており、大きなアップデートとなっている。いくつかは個別の記事として紹介していくが、以下にそれぞれの新機能をまとめてみた。
Android 15 ベータ2の新機能
Android 15のベータ1ではあまり大きな機能追加は見られなかったが、ベータ2では使い方が大きく変わるいくつかの新機能が追加されている。
プライベートスペース
誰かにスマートフォンを貸さなければならない状況にある時、あまり勝手に見られたくないアプリや写真などが誰しもあることだろう。そうした時にこの「プライベートスペース」機能を利用することで、見られたくないコンテンツを別のスペースに退避させることが出来、のぞき見から防ぐことが出来る。
Googleは、健康アプリや資産管理アプリなどをプライベートスペースにインストールして、個人情報を自分だけが見ることが出来るなどの使い方を提案している。もちろん、ちょっと見られるのが恥ずかしいようなゲームアプリを隠すことも可能だ。
プライベートスペースにインストールしたアプリはランチャー内の別のコンテナに収納され、ロック解除を行わないと何がインストールされているのか見ることすら出来ない。プライベートスペースがロックされている場合、最近のビュー、通知、設定、および他のアプリからは非表示になるため、アプリをインストールしていることさえも見られる事がないのだ。
効率的なAV1ソフトウェアデコーディングと、より優れたOpenGL
YouTubeがデフォルトでAV1デコードに切り替わった事から予測された動きではあるが、Android 15 ベータ2ではハードウェアのAV1デコード・サポートがないデバイスにVideoLANのAV1用ソフトウェア・デコーダーdav1dのサポートが提供されている。これは既にGoogleのAndroid Video and Image Codecsチームの一員であるArif Dikici氏によって少し前に報告されていた。
dav1dの使用は今のところオプションだが、Googleのベータ版リリースノートには、将来のアップデートで新しいデフォルトになることが確認されている。
加えてVulcanの上でOpenGL ESを実行したいアプリのためのオプションレイヤーとしてANGLEをサポートすることで、アプリのGPUインタラクションが可能になった。これにより、ゲームのような負荷の高いアプリのグラフィックス性能が若干向上し、互換性も改善されるはずだ。開発者はAndroid 15 Beta 2の「設定」→「開発者向けオプション」→「Experimental: Enable ANGLE」でこの設定を確認出来る。2026年、Googleは、すべてのデバイスでOpenGLサポートを維持しながら、ANGLEを通じてのみOpenGL/ESを利用できるようにする予定だ。
強力な盗難防止機能
GoogleはAndroid 15を皮切りに、盗難防止のための新たな機能を追加すると発表した。
まず一つ目に、工場出荷時のリセットを試みる際に新たな認証手段を追加することで、盗難デバイスが不正に利用される可能性を更に排除しようとしている。Androidはすでに、このようなケースを想定して工場出荷時リセットの保護を実装しているが、窃盗犯がデバイスをリセットして別のアカウントを使用してセットアップする可能性があるケースもある。これを防ぐため、Androidは工場出荷時リセットの後、以前のロック画面のパスコードで認証するか、最初にGoogleアカウントにサインインしない限り、セットアップ・アシスタントを使用できないような変更を加えている。
窃盗犯がすでにロック画面のパスコードを知っている場合、Androidは、Googleアカウントの削除や機密セキュリティ設定の変更などの作業に対して、ロック画面のパスコードと生体認証の両方を要求する設定を提供している。
また、AIを使用したスマートフォンの盗難予測機能も追加されている。これは、誰かがデバイスをひったくって逃げたことを検知すると、あなたのスマートフォンを自動的にロックするものだ。Googleによると、このアルゴリズムは、スマートフォンを強奪して自転車や車で走り去ったりするような、盗難に関連する動作を検出できるという。Android 15のスマートフォンがこれらの状況のいずれかを特定した場合、スマートフォンの画面はすぐにロックされ、ひったくり犯があなたのデータにアクセスするのがはるかに難しくなるとのことだ。
またフォールバックのリモートロック機能を使えば、盗難検知ロックを作動させることなく端末を持ち去られた場合でも、素早くロックすることができる。リモートロックを使えば、電話番号と“クイック・セキュリティ・チャレンジ”を完了するだけで、どのデバイスからでもスマートフォンの画面をリモートロックすることができる。これは、誰かがスマートフォンを盗まれた(または紛失した)にもかかわらず、「端末を探す」にアクセスするためのGoogleアカウントのパスワードを知らないという状況を避けるために設計されている。
大画面でのマルチタスク向上
タブレットや折りたたみ式端末では、“アプリのペアを保存”できるようになった。分割画面を作成し、Recentsメニューの新しいボタンをタップしてホームスクリーンに追加し、タスクバーを固定する事が出来るようになった。
その他の変更
- PiPモード:メインUIの上にオーバーレイされたUI要素の取り扱いが改善されている。
- Predictive Back:開発者向けオプションではなくなり、適切に移行されたすべてのアプリで利用できるようになった。
- 正しいバイブレーション効果:デバイスを見ずに通知を識別できるようになった。
- ヘルスコネクトの新しいデータタイプ:皮膚温とトレーニングプランの完了目標とパフォーマンス目標。
- 性別の異なる言語での挨拶方法をシステム全体で設定できるようになった。
PixelでAndroidベータプログラムを利用してAndroid 15をインストールする方法
Android 15の最初のDeveloper Previewリリースではサイドロードが必要だったが、Googleはベータ版をOTAアップデートですぐに利用できるようにしている。
設定するには、google.com/android/betaにアクセスする。こちらには自身のGoogleアカウントと紐付けされたPixelデバイスが表示されているため、ベータプログラムに登録したいデバイスを選択して登録すれば、お使いの端末でアップデートの有無を確認し、実際にアップデートをインストールできるようになる。アップデートは通常1時間以内に行われるが、場合によってはそれ以上かかることもあるだろう。
Sources
- Android Developers Blog: The Second Beta of Android 15
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