Microsoftは本日、開発者カンファレンス「Microsoft Build」の中で、新たなAI時代のPC「Copilot+ PC」の発表と共に、Windowsの次世代のアップデートも発表した。それは、噂されたような「Windows 12」の登場はなく、Windows 11への新たなAI機能の追加という形になりそうだが、今回同社が発表した新たなAI検索機能「Recall」はそれ自体が十分に野心的な物であり、ユーザーのPC利用に大きな影響を与える物だ。
Recall: AIによりPC上の“全ての出来事”を検索する
「Recall」について、Microsoftはこれを写真的記憶能力のような物だと例えている。これは、PCがユーザーの全ての行動を記録し、いつでも好きな瞬間に戻れるようにする機能とのことだ。
そう、文字通り“全て”の記録が保存される。Microsoftによれば、Recallはアプリ、Webサイト、チャット履歴、オンライン会議の記録、ファイルなどあらゆる物を記憶できるという。更に、RecallはExcelファイルの特定のシートを探し出すような、ファイルの中身も掘り下げて検索できるし、ライブキャプション機能のおかげで、オンライン会議や閲覧したYouTubeの動画すらも検索できるという。
RecallのUIは、検索ボックスとタイムラインバーにより構成される。ユーザーは検索によって特定のキーワードに合致する物を検索することも出来るし、タイムラインをさかのぼって、自身の行動を振り返り、過去に使用したコンテンツを発見する事も出来る。タイムラインで探していたスナップショットを選択すると、AIによって分析され、そのコンテンツと対話するためのオプションが提供されるとのことだ。
これを実現するためにRecallはCopilot+ PCの高度なAI処理機能を利用し、アクティブ状態時の画面スナップショットを数秒ごとに撮影し保存しているという。スナップショットは暗号化され、PCのローカルストレージに保存されるためプライバシー上の問題もクリアしている。キャプチャしたコンテンツを一時停止、停止、削除したり、特定のアプリやWebサイトを除外したりすることができるとのことだ。加えて、暗号化されたデータをローカルコンピューター以外の場所に保存することはなく、その情報をAIモデルのトレーニングに使用することもない。
加えて、RecallはMicrosoft EdgeのInPrivateでのWeb閲覧セッションやDRMで保護されたコンテンツのスナップショットを自動的に除外するとのことだ。ただし、「コンテンツモデレーションを実行」せず、パスワードや金融口座番号のような機密情報を積極的に隠すこともないと言う事で、この点は注意が必要だ。
意図的に記録したくない物に関しては、トレイエリアのアイコンをクリックすることで、スナップショットをいつでも一時停止できるとのこと。
Recallは「Copilot+ PC」でのみ利用可能
こうした高度な機能を使うために、RecallはすべてのWindows 11コンピュータで動作するわけではない。AI処理用のニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)を搭載したPCが必要となる。現時点でそれは、今回同時に発表されたQualcommのSnapdragon Xチップを搭載した「Copilot+ PC」でのみ可能なようだ。
また、Recall機能はストレージ容量も重要だ。必要な最小ハードドライブ容量は256GBで、50GBの空き容量が必要となる。例として、25GBで、約3ヶ月分のスナップショットを保存できるとのことだ。この割り当て容量はPCの設定で増やすことが出来る。割り当てられたストレージが満杯になると、古いスナップショットは削除され、新しいスナップショットで上書きされる。
Recallは現在「英語、中国語(簡体字)、フランス語、ドイツ語、日本語、スペイン語に最適化」されているが、より多くの言語に対応する予定とのことだ。
Sources
- Windows Blogs: Accelerating innovation: A new era of AI at work begins
コメント