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Intel Lunar Lake「Core Ultra 7 268V」のGeekbench 6テスト結果が登場、Meteor Lake比で大きなシングルコア性能を記録

Y Kobayashi

2024年6月27日

Intelの次世代モバイル向けプロセッサ「Lunar Lake」のGeekbench 6におけるベンチマークテスト結果が登場した。これは9月に発売される予定のLunar Lakeチップ「Core Ultra 7 268V」のエンジニアリング・サンプルの様で、その結果はシングルコア性能には目を見張る物があるが、マルチコア性能については少し微妙な結果となっている。ただし、このチップがターゲットとするデバイスがMacBook Airのような薄型設計のノートPCであることを鑑みれば、そのTDPと相まって見方も変わるかも知れない。

Lunar Lakeは17Wという低いTDPながら印象的なシングルコアパフォーマンスを発揮

Geekbench Browserに登場した「Intel Corporation Lunar Lake Client Platform」と称されたデバイスは、新たなLunar Lake「Core Ultra 7 268V」のようだ。これは、Lion Cove Pコアおよび Skymont Eコアをそれぞれ4コアずつ搭載し、最大 8 コアを搭載している。ハイパースレッディングは廃止されているため、最大8スレッドだ。L3キャッシュを12MB、ベースクロック周波数は3.30GHz、ブーストクロックは5.0GHz、メモリは32GBのLPDDR5X-8533をオンパッケージで搭載している。

Core Ultra 7 268VのGeekbench 6ベンチマークテストの結果は2つ掲載されており、Intelのリファレンス評価プラットフォーム上で、「バランス」電源プランを使用してテストされたようだ。クロック周波数は4.5~4.9GHzであったため、MAXの5.0GHzには達していない。エンジニアリング・サンプルと言うことで、最終的な製品版は更に優れたパフォーマンスを示す可能性があることを念頭に置いて結果を見ていこう。

Geekbench 6ベンチマークテスト結果は、1つめが、シングルコア・スコアで2,739ポイント、マルチコア・スコアで9,907ポイント、2つめはシングルコア・スコアで2,713ポイント、マルチコア・スコアで10,036ポイントを記録している。

2つの結果の平均を取った、シングルコア・スコアで2,726ポイント、マルチコア・スコアで9,972ポイントでこのチップのパフォーマンスを他の製品と比較してみると、同じIntelの前世代モデルであるMeteor Lakeの「Core Ultra 7 155H」(シングルコア・スコアで2,356ポイント、マルチコア・スコアで11,926ポイント)と比較するならば、シングルコア・スコアは15%と言う大きな伸びを記録していることが見て取れる反面、マルチコア・スコアはMeteor Lake比では19%劣ってしまっているという結果だ。これは、最適化前のエンジニアリング・サンプルであるためこうした結果になっているのか、それともIntelがハイパースレッディング(マルチスレッド)をLunar Lakeでは排除したことによる結果なのかは不明だ。また、Lunar LakeがEコア4つ、Meteor LakeはEコアが8つ搭載されているという、Eコアの数の差もマルチコア・スコアの差となって出てきている可能性もある。

Intel Core Ultra 7 268VIntel Core Ultra 7 155HRyzen AI 9 365
Geekbench 6 シングルコア・スコア272623562995
Geekbench 6 マルチコア・スコア99721192614530

更に、いくつか出ているAMDのRyzen AI 300プロセッサとの比較も見てみよう。David Huang氏によってテストされた物が最も正確と思われるためそちらの結果を見てみると、興味深い結果が見て取れる。

Ryzen AI 9 365のGeekbench 6スコアは、シングルコア・スコアが2,995ポイント、マルチコア・スコアが14,530ポイントだった。

Intel Core Ultra 7 268V (4.9 GHZ @ 17W)AMD Ryzen AI 9 365 (5GHZ @ 54W)性能相対比較(AI 9 365比)
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Structure from Motion2977307696.7%
Single-Core Score (Overall)2739299591.4%
Intel Lunar LakeとAMD Strix Pointのシングルコア・スコア比較

スコアだけ見るとLunar Lakeはあまり性能が高くないようにも見て取れるが、IntelはLunar Lakeを主に薄型軽量なデバイスへの搭載を焦点に置いて開発し、電力効率の向上にかなりの熱量を注いでいること、目標TDPもデフォルトは17W、ピークでも30W程度であることを考慮するならば印象的な結果と言えるだろう。

対照的にMeteor LakeやStrix Pointは、50W前後の比較的高いTDP設定になっていることから、必然的にパフォーマンスが高くなっている。

Lunar LakeはIntelの当初の計画通り9月中旬には搭載PCが発売されるようだ。発売が近付くに連れて更に多くの情報が明らかになってくることだろう。


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