SK hynixはHBM(高帯域幅メモリ)市場で現在トップのシェアを誇るが、次世代のHBMでは演算および通信機能などを追加し、競合企業との差別化を図るべく開発を進めていることが明らかになった。
HBMへのシステム半導体の統合は全体のパフォーマンスと効率の向上をもたらす
韓国ETNewsによると、SK hynixはHBMにコンピューティング、キャッシュ、ネットワークなどの新たな機能を追加するべく、半導体設計資産(IP)を確保することに着手した事が業界情報筋から確認出来たとのことだ。
SK hynixは2025年に投入予定のHBM4で、これにシステム半導体であるメモリコントローラを搭載し、その次の第7世代HBM(HBM4E)では、なんとコンピューティング・キャッシュ・ネットワークメモリを搭載する計画だという。
これまでのAI半導体は、GPUなどのプロセッサの周囲にHBMが配置され、メモリコントローラー等のシステム半導体が組み合わされて1つのパッケージングを形成していた。
メモリコントローラーはHBMの機能を制御するものだが、SK hynixはHBMの最下部にある「ベースダイ(Die)」にこれを統合する事をHBM4で実施する計画のようだ。これにより、電力効率と信号伝達速度の向上が期待出来る。
HBM4Eでは同様にコンピューティングとキャッシュおよびネットワーク機能を搭載すると言う。コンピューティング機能の実装によってSK hynixはHBMを最適化するための演算機能や、CPUやGPUなどのプロセッサ機能の一部をHBMで実行する計画のようだ。キャッシュとネットワークメモリはAI半導体チップの演算速度を向上させるために用いられる。ただし、これらの機能は顧客の要求に応じて「カスタマイズ」も出来る方針のようだ。
SK hynixがこれを実現した場合、現在のAI半導体と比較して、低遅延・省電力、また空間効率も向上し、全体のパッケージの軽量化・小型化が可能となる。
SK hynixは既にHBM向けのシステム半導体IPを確保しており、ベースダイの製造を担うTSMCなどのファウンドリーが保有するIP、及び顧客が保有するIPを積極的に活用する方針のようだ。半導体業界関係者は、「HBMにシステム半導体の機能を組み込むには顧客およびファウンドリーとの協力が必須であり、NVIDIA-SK hynix-TSMCのような同盟体制が一層強力になる可能性がある」と述べている。
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