AMDが先日Computexで発表したばかりのZen 5プロセッサが間もなく発売されるが、次世代アーキテクチャZen 6に関する新たな情報が浮上した。コードネーム「Medusa」と呼ばれるこのプロセッサは、2025年後半のリリースを目指して開発が進められているという。AMDの積極的な製品展開戦略は、AI性能における競合他社との差別化を図る狙いがあるとみられている。
Zen 6 Medusaの詳細と開発状況
YouTuberのMoore’s Law is Dead(MLID)が複数の情報源から得た情報によると、AMDの社内では「Medusa」というコードネームのアーキテクチャについて言及されているという。ただし、その詳細については情報源によって見解が分かれている。
ある情報源によれば、Medusaはデスクトップ、モバイル、そしてハイエンドモバイル製品を包括するファミリー製品になるとのことだ。これは、AMDの現行の製品コードネーミング規則と一致している。具体的には、デスクトップ製品は「Ridge」、モバイル製品は「Point」、そしてハイエンドモバイル製品は「Halo」という接尾辞が付けられている。
Zen 6 Medusaの開発において重要な要素となっているのが、TSMCの3nmプロセスだ。最近発表されたZen 5チップがTSMCのN4プロセスを採用していることを考えると、これは少々意外な展開だ。当初、Zen 5はZen 4が5nmを使用していたことから、3nmへの移行が予想されていたからだ。
MLIDによれば、Strix PointとStrix Haloは当初3nmチップレットアーキテクチャで設計されていたという。しかし、チップレットの開発における問題やTSMCの遅延により、この計画は棚上げされ、Strix Pointは4nmのモノリシックダイとなった。一方、Strix Haloは今年後半に3nmチップレット設計で登場し、特にニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)の性能面でIntelのLunar Lakeに対抗する可能性がある。
AMDはNPU性能においてIntelをリードし続けることに強いこだわりを持っており、これが同社の一見奇異に見える製品発表スケジュールの背景にあるとMLIDは指摘している。例えば、AMDはZen 4 8000シリーズチップをデスクトップとモバイル向けに発表した際、NPUのアップグレードのみを行った。これは、IntelのMeteor Lake搭載チップに対抭するためだったとされる。Meteor LakeのNPUが11TOPSの性能を持つのに対し、Zen 4 8000シリーズのXDNA NPUは16 TOPSを提供した。この数値は、Lunar Lakeで48 TOPS、Zen 5 Strix Pointで50 TOPSにまで跳ね上がる見込みだ。
さらに興味深いのは、AMDがMedusa(Zen 6)でI/Oダイを3nmプロセスに移行させる計画があるという点だ。これは、Zen 4とZen 5がTSMC 6nmプロセスを使用していることを考えると大きな進化となる。
内部情報提供者によれば、Zen 5 Strix Pointは当初今年第1四半期に登場する予定だったが、上述の問題により第3四半期へと延期されたという。Strix Haloに至っては1年近く遅延しているが、登場時にはIntelを圧倒する性能を持つ可能性があるとされている。
ただし、これらの情報はあくまでも噂の段階であり、慎重に受け止める必要があるだろう。AMDのStrix Haloモバイル製品のラインナップ詳細はまだ明らかになっていない。IntelのLunar Lakeも発表されたものの、実際の発売は第3四半期後半(おそらく9月)になる見込みだ。Zen 5 モバイル向けプロセッサ「Ryzen AI 300」及びデスクトップ向けプロセッサ「Ryzen 9000」シリーズは7月31日の発売だと言われている。
Source
- Moore’s Law is Dead: AMD Zen 6 Medusa Early Leak: AM5 Release Date, Halo APU, 3nm IOD
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