Intel社の次世代デスクトップCPUプラットフォーム「Arrow Lake」の登場が近づく中、最新のベンチマーク結果が流出し、そのパワーの一端が明らかになった。流出したのは、同シリーズの準フラッグシップモデルとなるCore Ultra 7 265Kの性能データだが、同CPUが単一コアおよび複数コアのワークロードにおいて、強力な性能を発揮することを示しており、ユーザーとしては期待が持てる結果となっている。
Intel Core Ultra 7 265Kの仕様と性能概要
Core Ultra 7 265Kは、Arrow Lakeファミリーに属する20コア/20スレッドのCPUだ。これまでの情報によると、ベースクロックは3.9GHz、ブーストクロックは最大5.50GHzとされている。また、33MBのL3キャッシュを搭載し、TDPは125W(PL1)となっている。
今回流出したベンチマーク結果は、CPU-Zによるものだ。シングルコア・テストでは919ポイントを記録し、現行のCore i9-14900Kのベースライン設定(902ポイント)を上回る性能を示した。さらに、AMDのZen 5アーキテクチャを採用するRyzen 9 9950X(885ポイント)をも凌駕している。
マルチコア・テストでは16,274ポイントを記録。これはCore i9-14900K(16,642ポイント)には及ばないものの、スレッド数の少なさを考慮すると、印象的な結果と言える。ただし、前世代のCore i7-14700Kと比較すると、シングルコアで2%、マルチコアで9%の性能向上にとどまっている。
これらの結果は、Arrow Lake世代のCPUが、特にシングルコア性能において競合製品に対して優位性を持つ可能性を示すものだが、最終的な評価には、より多くのベンチマークと実際の製品版での検証が必要となる。
詳細な性能分析から見えてくる意外な事実
Core Ultra 7 265Kの性能をより詳細に見ていくと、興味深い点がいくつか浮かび上がる。まず、このCPUはPコアで5.5GHz、Eコアで4.6GHzのブースト周波数を実現している。これは、前世代のCPUと同等かそれ以上の高クロック動作が可能であることを示している。
特筆すべきは、このCPUの動作温度だ。Prime95のストレステストを実行した際の温度が75℃程度に抑えられていたという報告がある。これは、高性能なIntel CPUとしては非常に低い温度だ。通常、このクラスのCPUは負荷時に90℃を超えることが多い。この低温動作は、電圧が1.2Vに固定されていたことも影響している可能性がある。
Arrow Lake世代のCPUは、Intelの20Aプロセスではなく、TSMCのN3Bプロセスで製造されると言われている。これは、TSMCの最新の製造プロセスであり、性能と効率の両面で改善が期待されている。今回のベンチマーク結果は、このプロセス技術の恩恵を示唆しているかもしれない。
しかし、今回のリークには注意点もある。テストに使用されたのはQSサンプルのB0ステッピングチップであり、最終製品版とは異なる可能性がある。また、マザーボードの設定や使用されたメモリの詳細も不明である。これらの要因が性能に影響を与えている可能性は否定できない。
Intel Core Ultra 7 265Kを含むArrow Lake CPUは10月にも発売される予定だ。最終的な性能や消費電力、価格などが明らかになるまでは、これらのベンチマーク結果を参考程度に捉えるべきだろう。しかし、単一コア性能の向上と低温動作の可能性は、Arrow Lake世代への期待を高めるものとなっている。
Intelが高性能と効率性を両立させた製品を投入できるかどうか、また、AMDのZen 5アーキテクチャを採用するCPUとの競争がどのように展開されるか、今後の動向に注目が集まる。
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