Qualcommの最高経営責任者(CEO)であるCristiano Amon氏が、SamsungとGoogleとの共同開発による新しい複合現実(MR)スマートグラスについて、詳細な情報を明らかにした。CNBCのインタビューで語られたこの新製品は、スマートフォンと連携して動作する「コンパニオンデバイス」として位置づけられており、ウェアラブル技術の新たな可能性を示唆している。
QualcommのCEOが語る新MRグラスの詳細
Amon氏は、この新しいMRグラスについて「新しい製品であり、新しい体験をもたらすもの」と表現した。2023年2月に発表されたSamsungおよびGoogleとのパートナーシップは、複合現実技術の開発を目的としており、今回の発表はその成果の一端を示すものだ。
新製品の特徴として、Amon氏は以下の点を強調した:
- スマートフォンとの常時接続:ユーザーの所有するスマートフォンと連携して動作する設計。
- 軽量かつスタイリッシュなデザイン:通常のメガネやサングラスと変わらない外観を目指す。
- AI機能の統合:デバイス上、スマートフォン、クラウドを活用したAI処理。
「メガネをかけることが、普通のメガネやサングラスをかけるのと何ら変わらないポイントに到達する必要がある。そうすれば、スケールを獲得できる」とAmon氏は述べ、製品の普及に向けた方針を示した。
新MRグラスの技術的側面
新製品の開発において、QualcommはSnapdragon AR1 Gen 1チップを基盤としつつ、AI機能を強化した新たなシリコン設計に取り組んでいる。この技術的アプローチは、AppleのVision Proのような高価な完全独立型ヘッドセットとは一線を画すものだ。
AIの活用については、ローカルデバイス(グラスとスマートフォン)とクラウドの両方で処理を行う分散型アーキテクチャを採用。これにより、「全く新しい体験」を実現するとAmon氏は述べている。
市場戦略としては、MetaのRay-Ban社製スマートグラスのアプローチを参考にしつつ、より高度な機能を目指しているようだ。Amon氏は「スマートフォンを持つ全ての人に、それに合わせたコンパニオングラスを購入してほしい」と述べ、普及への意欲を示した。
製品の発売時期については具体的な言及はなかったが、SamsungのTM Roh氏が今年中に新しい複合現実プラットフォームを発表すると述べていることから、2024年後半から2025年初頭にかけての発表が予想される。
Qualcommのこのプロジェクトはスマートフォン市場以外への事業多角化の一環であり、まだ小規模な複合現実デバイス市場を重要な成長分野と位置づけている。SamsungとGoogleという強力なパートナーとの協力により、新たなウェアラブルデバイス市場を切り拓こうとしている。AppleもMRグラスの開発を進めているとの情報もあり、今後の展開が楽しみだ。
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