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ADATA、業界初のSD Express 8.0カード発表―SSD並みの最大1,600MB/sという驚異的転送速度を実現

Y Kobayashi

2025年4月22日

ADATAが業界初となるSD Express 8.0規格に準拠したメモリカード「Premier Extreme SD 8.0 Express」を発表した。PCIe Gen 3 x2インターフェースとNVMeプロトコルを採用し、最大読み取り速度1,600MB/s、書き込み速度1,200MB/sという従来のSDカードの常識を覆す高速転送を実現している。同時に新型USBフラッシュドライブとM.2 SSDエンクロージャーも発表され、モバイルストレージの新時代を予感させる製品ラインナップが登場した。

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規格刷新で爆誕!SSDに匹敵する転送速度

今回ADATAが発表した「Premier Extreme SD 8.0 Express」メモリカードの最大の特徴は、圧倒的な転送速度にある。

このカードは、最新規格である「SD Express 8.0」に準拠し、インターフェースには「PCIe Gen 3 x2」、データ転送プロトコルには「NVMe」を採用している。これらは、現代の高性能PCに搭載されているSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)と同じ技術基盤であり、これにより従来のSDカードとは比較にならない高速化が可能となった。

ADATAの発表によれば、最大読込速度は1,600 MB/s、最大書込速度は1,200 MB/sに達する。この数値がいかに突出しているかは、既存の規格と比較すれば一目瞭然だ。

  • SD Express 7.0: 約2倍の速度
  • UHS-II SDカード: 約4倍の速度
  • UHS-I SDカード: 約12倍の速度

さらに注目すべきは、一般的な外付けSSDや、旧世代のSATAインターフェースを採用した内蔵SSDをも上回る可能性がある点だ。多くのポータブルSSDがUSB接続の帯域幅(約1GB/s)に制限される中、このSDカードはそれを凌駕するポテンシャルを持つ。これまでストレージ速度がボトルネックとなっていた作業において、劇的な効率改善が期待できるだろう。

プロユースに応える性能と信頼性

「Premier Extreme SD 8.0 Express」は、速度に加え、プロフェッショナルの現場で求められる性能と信頼性も兼ね備えている。

発表時点での容量ラインナップは512GB。これは、高解像度の4Kビデオ録画や、ファイルサイズの大きなRAW画像の連続撮影、あるいは複数のアプリケーションを同時に扱うマルチタスク環境においても、十分なストレージ空間を提供する。ADATAは、将来的に市場が成熟すれば、さらに大容量のモデルが登場する可能性も示唆している。

ビデオ撮影に関する性能指標としては、UHSスピードクラス3 (U3) およびビデオスピードクラス30 (V30) に対応している。これは、最低でも30MB/sの持続的な書き込み速度を保証するものであり、安定した4Kビデオ撮影の要件を満たす。ただし、この最低保証速度は最大書込速度(1,200MB/s)とは異なる点に注意が必要だ。SD Express規格には独自の「E」で始まる速度表記(例: E150は最低150MB/s保証)が存在するが、現時点ではこのカードに関するE表記は発表されていない。

データ保護の観点からも、信頼性を高める機能が搭載されている。LDPC(低密度パリティ検査)ECC(誤り訂正符号)技術により、データ転送中のエラーを自動的に検出・訂正する。さらに、防水、耐衝撃、帯電防止、そして高温・低温環境への耐性も備えており、過酷な現場での使用にも耐えうる設計となっている。

また、SD Express 8.0規格の特徴として、複数のデバイスからカードへ同時にアクセスできる機能もサポートしており、データ統合の効率化にも貢献する。

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SD Express 8.0 の普及は進むか?現状と今後の展望

SD Express規格そのものは、SD 7.0として2018年に発表されていた。しかし、対応機器の少なさや価格の問題から、これまで広く普及するには至っていなかった。今回のADATAによるSD 8.0カードの登場は、この状況を変える起爆剤となるだろうか。

いくつかの課題は依然として存在する。まず、このカードの性能を最大限に引き出すためには、SD Express 8.0に対応したカードリーダーやデバイスが不可欠である。既存のUHS-I/II対応スロットでも使用は可能(後方互換性あり)だが、その場合は従来の速度に制限される。現状、SD Express 8.0に対応したPCやカメラは非常に少ない。

価格も普及の障壁となりうる。既存のMicroSD Expressカードのギガバイト単価は、一般的なSSDと比較して4〜5倍高価であると指摘されている。このPremier Extreme SD 8.0 Expressカードも、当初は「プレミアム価格」になることが予想され、一般ユーザーが気軽に手を出せる価格帯になるまでには時間がかかるかもしれない。

一方で、普及を後押しする動きも期待される。特に注目されているのが、次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」の登場だ。2025年6月5日発売のSwitch 2は、「SD Express」を専用追加ストレージとして採用しており、ハードの普及に伴い、対応カードの需要が一気に高まり、価格低下や製品ラインナップの拡充につながる可能性も期待出来そうだ。

また、プロフェッショナル向けのビデオカメラやハイエンドPCなど、特定の分野では、その圧倒的な速度性能から採用が進む可能性は高い。ただし、スマートフォン市場においては、多くのメーカーが外部メモリスロットを廃止する傾向にあるため、SD Expressが広く採用される見込みは低いだろう。

価格と発売時期は未定、続報に期待

現時点では、ADATAはこの「Premier Extreme SD 8.0 Express」メモリカードの具体的な価格や発売時期について明らかにしていない。来月開催される見込みのComputexなどのイベントで、さらなる詳細情報が発表されることが期待される。


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