AMDは先日Computexで発表したRyzen 9000シリーズを7月にも発売する予定だが、噂ではそれから間髪を入れず「Ryzen 9000X3D」シリーズの投入を計画しているという。これについてはまだ確定した情報はないが、今回AMDが3D V-Cacheドライバーの最適化を進めていることが判明した事で、Ryzen 9000X3Dシリーズプロセッサが9月にも発売するという情報に信憑性が増してきた形だ。
AMDが3D V-Cache Optimizerを追加した新しいRyzenチップセット・ドライバをリリース
本日AMDはRyzen チップセット ドライバーのアップデートを実施し、Windows 11の次期大型アップデート「Windows 11 24H2」に対応したが、この中で3D V-Cache Performance Optimizerの更新が行われているとの指摘があったことを@harukaze5719氏がXで共有している。AMDは過去に、Ryzen 7000X3Dチップの発売に合わせて3D V-Cache Performance Optimizerを更新した経緯があることから、近い将来にRyzen 9000X3Dの発売が予定されており、AMDがそれに備えている可能性が指摘されているわけだ。
もちろん、そうした新製品のための事前準備というわけではなく、Ryzen 7000X3D向け、特に大容量のL3キャッシュの効果が顕著に出るなゲームやアプリケーションをRyzen 9 7900X3Dまたは7950X3Dのキャッシュ搭載CCDに割り当てるために最適化されている可能性もあるが、5800X3Dではそのような最適化が不要であるためドライバーの更新は必ずしも必要ではない。
AMDは既に3D V-Cache対応のRyzen 9000プロセッサーを開発中であり、3D V-Cache技術にいくつかの革新をもたらすことを明らかにしている。そしてRyzen 9000X3Dプロセッサーを最大限の性能で提供するために尽力していることは間違いない。AMDの標準的なRyzen 9000シリーズプロセッサーは、Ryzen 7000と比較して16%のIPC向上を謳っているが、新しいZen 5アーキテクチャの優位性を持ってしても、ゲーム性能では巨大なL3キャッシュを持つZen 4のRyzen 7000X3Dプロセッサーに勝ることはないようだ。
AMDはキャッシュ技術の詳細については明らかにしていないが、Ryzen 9000X3Dのキャッシュ性能向上を目的とした変更が予定されていることは確かであり、現在の3D V-Cache技術をそのままRyzen 9000 Zen 5ダイに適用するだけではなく、更なる性能向上が見込まれる可能性もありそうだ。
予想される新たな3D V-Cache技術の改革としては、例えば、Ryzen 9000X3DチップのL3キャッシュ容量を増やしたり、SRAMチップレットをスタックしたり、帯域幅を増やしたり、レイテンシを減少させたりすることが考えられる。
これらの変更は、SRAMチップレットをこれまでよりも更に先進的なプロセスノードに移行することで可能となるだろう。AMDは現在、初代X3DチップであるRyzen 7 5800X3Dを含むすべての3D V-Cacheラインナップで7nmベースの3D V-Cacheチップレットを使用しているが、6nmまたは5nmプロセスに移行すれば、3D V-Cacheチップレットには様々なメリットが生まれる。まずプロセスノードの縮小によりダイが薄くなり、熱性能の改善が期待されている。これは、これまで3D V-Cache設計の弱点であったが、熱性能が改善されれば、標準モデルと同様のクロックスピードを実現する可能性もあり、更なる性能向上が期待出来る。
新しいRyzen 9000X3Dチップがいつ発売されるかは不明であるが、来月に予定されている標準のRyzen 9000チップの発売後、9月か10月にも発売するのではとの情報がある。これにより、AMDは今年中に予定されているIntelの競合製品であるArrow Lake-Sの発売に多くの製品を当てることが可能になるだろう。
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