AppleのAirPods Pro 2が、米国食品医薬品局(FDA)から補聴器機能の認証を取得し、聴覚健康ケアデバイスとしての新たな一歩を踏み出した。この画期的な機能により、AirPods Pro 2は従来のワイヤレスイヤホンとしての役割に加え、臨床グレードの補聴器としても機能することが可能になる。
FDAが認める画期的な補聴器ソフトウェア
FDAは2024年9月、AppleのAirPods Pro 2に搭載される補聴器機能のソフトウェアを「初の市販(OTC)補聴器ソフトウェアデバイス」として認可した。この認可は、DeNovo分類の下で審査され、新規性が高く、かつリスクが低から中程度のデバイスを対象としている。
FDAのMichelle Tarver氏は、「聴覚損失は数百万人のアメリカ人に影響を与える重要な公衆衛生問題です」と述べ、この認可が「軽度から中等度の聴覚損失を自覚する成人のための聴覚サポートの利用可能性、アクセシビリティ、受容性を向上させる」と評価している。
AppleのAirPods Pro 2による補聴器機能は、118人の被験者を対象とした臨床試験で評価された。結果は、この機能を使用した被験者が、専門家による調整を受けた場合と同様の効果を得られたことを示している。この成果は、従来の補聴器市場に大きな変革をもたらす可能性を秘めている。
AirPods Pro 2の補聴器機能の詳細と市場への影響
AppleのAirPods Pro 2に搭載される補聴器機能は、ソフトウェアアップデートによって実現される。ユーザーは、iPhoneやiPadを使用して聴力テストを行い、個人の聴力プロファイルを作成できる。このプロファイルは、Apple Healthアププリに保存され、プライバシーが保護される。
聴力テストでは、様々な音が再生され、ユーザーは音が聞こえたときに画面をタップするだけでよい。テスト結果に基づいて、AirPods Pro 2は臨床グレードの補聴器として機能し、音楽、映画、ゲーム、電話通話などのコンテンツに自動的に適用される。
この機能は、従来の補聴器市場に大きな影響を与える可能性がある。AirPods Pro 2の価格は39,800円で、一般的な臨床グレードの補聴器と比べてはるかに安価でだからだ。実際に、AppleのAirPods Proへのこの新機能の提供がアナウンスされた後、補聴器ブランドの株価は値下がりが見られている。ただし、iPhoneやiPadなどのAppleデバイスが必要となる点には注意が必要だ。
世界保健機関(WHO)によると、全世界で約15億人が何らかの聴覚障害を抱えているとされる。Appleのこのイニシアチブは、補聴器の利用に関する社会的偏見を減らし、より多くの人々が手頃な価格で聴覚ケアにアクセスできるようにする可能性を秘めている。
Appleは今後数か月のうちに、各国の保健当局の認可を得て、100以上の国と地域でこの聴力テストと補聴器機能を提供する計画だ。この革新的な機能により、AirPods Pro 2は単なるオーディオデバイスを超え、個人の健康管理を支援する重要なツールとなる可能性を秘めている。
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