Appleの新型プロセッサM4 Proの事前ベンチマーク結果が明らかとなり、同社のフラッグシップモデルであるMac Pro(M2 Ultra搭載)をも上回る驚異的な性能を記録していることが明らかになった。2世代前とは言え、ハイエンドデスクトップに搭載されたプロセッサをノート向けプロセッサが処理能力の面で上回っていることは、同社のチップ開発の順当な進歩を物語る物と言えるだろう。
CPUのマルチコア・スコアでM2 Ultraを超える性能
Geekbench 6 CPUテスト | シングルコア・スコア | マルチコア・スコア |
---|---|---|
M1 | 2,342 | 8,352 |
M1 Pro | 2,387 | 12,349 |
M1 Max | 2,419 | 12,623 |
M1 Ultra | 2,395 | 18,326 |
M2 | 2,596 | 9,733 |
M2 Pro | 2,635 | 14,235 |
M2 Max | 2,748 | 14,674 |
M2 Ultra | 2,868 | 22,065 |
M3 | 3,065 | 11,959 |
M3 Pro | 3,107 | 15,269 |
M3 Max | 3,070 | 21,405 |
M4 | 3,864 | 15,288 |
M4 Pro | 3,925 | 22,669 |
Geekbenchに登場した新型MacBook Pro(型番:Mac16,7)に搭載されたM4 Proは、シングルコア・スコアで3,925ポイント、マルチコア・スコアで22,669ポイントという驚異的なスコアを叩き出した。これは現行の最上位モデルであるMac Pro(M2 Ultra、24コアCPU、192GB RAM搭載)のスコア(シングルコア:2,868ポイント、マルチコア・スコア:22,065ポイント)を完全に凌駕する数値である。
注目すべきは、M4 Proがわずか14コアCPUという構成でこの性能を実現している点だ。4.51GHzという高いクロック周波数を実現することで、コア数で劣るにもかかわらず、より多くのコアを持つM2 Ultraを上回ることに成功している。
アーキテクチャ革新がもたらした圧倒的進化
M4 Proは、M3 Proと比較してもシングルコア・スコアで25%向上、マルチコア・スコアでは46%も向上している。この数値の背景には、単純な製造プロセスの微細化を超えた革新が存在する。特に注目すべきは、4.51GHzという高クロック周波数の実現だ。これはM3 Proの4.06GHzから約11%の向上を意味し、Arm系プロセッサとしては極めて高い動作周波数を実現している。
この進化は、Appleが長年追求してきた高効率アーキテクチャの集大成と言えるだろう。特に電力効率の面で、従来のx86アーキテクチャに対して決定的なアドバンテージを確立しつつある。
GPUアーキテクチャの革新的進化
Geekbench 6 GPUテスト | OpenCL | Metal |
---|---|---|
M1 | 18,849 | 30,874 |
M1 Pro | 37,795 | 65,432 |
M1 Max | 60,167 | 110,718 |
M1 Ultra | 94,125 | 160,020 |
M2 | 23,351 | 43,233 |
M2 Pro | 52,691 | 77,179 |
M2 Max | 86,805 | 132,106 |
M2 Ultra | 119,218 | 208,012 |
M3 | 29,274 | 46,255 |
M3 Pro | 52,769 | 73,810 |
M3 Max | 86,077 | 142,636 |
M4 | 53,372 | |
M4 Pro | 69,867 | 111,119 |
GPUパフォーマンスも圧倒的な向上を見せている。20コアGPUを搭載するM4 ProのOpenCLベンチマークスコア69,867ポイントは、前世代から38%の性能向上を実現しているのだ。特筆すべきは、40コアGPUを搭載するM3 Maxの91,413ポイントに対して、半分のコア数でありながら性能差を31%に抑えている点である。これは単純なコア数の増加ではなく、GPUアーキテクチャ自体の効率性が劇的に向上していることを示している。
また、Metalスコアも大きな向上が見られる。M4 Proでは10万ポイントを大きく超え、111,119ポイントが記録されているのだ。これは、M3 Proの73,810ポイントを40%も上回り、M1 Maxの110,718をも超える衝撃的な結果となっている。
この進化は、機械学習やAIワークロード、プロフェッショナルな映像編集において、より高速かつ効率的な処理を可能にする。特に、昨今需要が高まっているAIモデルのローカル実行において、大きなアドバンテージとなる可能性を秘めている。
Xenospectrum’s Take
M4 Proについて、11月8日の正式発売を控えた現時点でこのような性能を示していることは、最終的な製品ではさらなる最適化が期待できる。特にM4 MaxやM4 Ultraが登場すれば、クリエイティブ業界やエンタープライズ市場に大きな変革をもたらす可能性が高い。
プロフェッショナル向けコンピューティング市場は、今まさに大きな転換点を迎えようとしている。Appleの一貫した垂直統合戦略と、独自のシリコン開発への投資が、ついに従来のPC業界の常識を完全に覆す段階に達したのである。競合他社、特にIntelやAMDは、この予想を超える進化にどのように対応するのか。2024年のプロセッサ市場は、かつてない激動の時代を迎えることになりそうだ。
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