Appleの次世代iPhoneに搭載されるプロセッサ技術について、新たな情報が明らかになった。著名アナリストのMing-Chi Kuoによると、2025年に登場予定のiPhone 17シリーズは3nmプロセス技術を継続採用する一方、2026年のiPhone 18シリーズでは2nmプロセス技術への移行が見込まれるという。しかし、2nmプロセッサの採用には課題も存在し、一部のモデルに限定される可能性が指摘されている。
iPhone 17シリーズ:第3世代3nmプロセスが採用か
著名アナリストのMing-Chi Kuo氏の分析によると、2025年に登場予定のiPhone 17シリーズは、TSMCの次世代3nmプロセス技術「N3P」(Apple風に言えば、“第3世代”の3nmプロセス)を採用すると見られるとのことだ。この新プロセスは、現行のiPhone 16 ProシリーズのA18 Proチップが採用している「N3E」プロセスからの進化版だ。
N3 vs N5 | N3E vs N5 | N3P vs N3E | N3X vs N3P | |
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消費電力 | -25% ~ -30% | -32% | -5% ~ 10% | 高い |
性能 | +10% ~ +15% | +18% | +5% | +5% Fmax @ 1.2V |
チップ密度 | ? | 1.03 | 1.04 | 同じ |
SRAMセルサイズ | 0.0199μm²(N5比-5%) | 0.021μm²(N5と同じ) | ? | ? |
量産開始時期 | 2022年末 | 2023年下半期 | 2024年下半期 | 2025年予定 |
N3Pプロセスの採用により、iPhone 17シリーズのA19 Proチップは、現行モデルと比較して約5%の性能向上、最大10%の省電力化が見込まれている。この進化は、より高速で効率的なiPhoneの実現につながる可能性がある。
興味深いのは、この新プロセス技術がiPhone 17シリーズ全モデルに採用される可能性があるということだ。これは、今年のiPhone 16シリーズでAppleが取った戦略と同様にProモデルと標準モデルの性能差を縮める戦略を取る可能性を示唆している。
N3Pプロセスは、性能と効率のバランスを重視しつつ、より複雑な製造工程を要するとされる。だが、AppleがA17 Proで採用したTSMCのN3Bプロセスと比較すればコストは低いとされており、また歩留まりも高い物が見込まれるとのことだ。現行のN3Eプロセスを採用したチップとコスト面での差は大きくはないものと見られる。
iPhone 18シリーズ:2nmプロセスの革新
さらに注目すべきは、2026年に登場予定のiPhone 18シリーズだ。Kuo氏の分析によると、この世代でAppleは画期的な2nmプロセス技術の採用を検討している。しかし、この最先端技術の採用にはいくつかの課題が存在する。
最大の課題は、製造コストだ。2nmプロセス技術は、さらに微細化が進んだ高度な製造工程を必要とする。このため、良品率(製造過程で基準を満たすチップの割合)の確保が難しくなり、結果としてチップ1個あたりのコストが上昇する。
この課題に対応するため、Appleは2nmプロセス採用チップをiPhone 18シリーズの一部モデル、おそらくProモデルにのみ限定して搭載する可能性が高い。これは、高性能を求めるユーザーに特化した戦略と言える。
2nmプロセス採用により、iPhone 18 Proシリーズは飛躍的な性能向上を実現する可能性がある。より高速な処理、より効率的な電力消費、さらなる小型化などが期待できる。これにより、AR/VR機能の強化や、AIを活用した高度な機能の実装なども可能になるかもしれない。
一方で、標準モデルは改良された3nmプロセス技術を採用し続ける可能性が高い。これにより、Appleは製品ラインナップ全体でのコストバランスを取りつつ、Proモデルの差別化を図ることができる。
TSMCは2025年に2nmプロセス技術の量産開始を予定しているが、iPhone 17 Proへの採用は時期的に間に合わない可能性が高い。このため、2nmプロセス技術の本格的な採用は、iPhone 18 Proシリーズが最初になると予測される。
Xenospectrum’s Take
Appleの次世代プロセッサ戦略は、技術革新とコスト管理のバランスを取る難しい挑戦だ。3nmプロセスから2nmプロセスへの移行は、単なる数字の変更以上の意味を持つ。
特にTSMCは2nmプロセスでこれまでのFinFETとは異なるGAA FETの採用を始めるとされており、これにより更なる省電力化や性能の向上が期待出来るが、同時に工程が複雑になることでの歩留まり率の低下も懸念される。これは更なるチップのコスト高にも繋がる可能性がありそうだ。
とは言え、これによる性能の向上幅は大きく、TSMCは15%の性能向上を主張しており、実際のA19 Proチップでは前世代比で大きな飛躍が期待出来ることも確かだ。AI機能の強化など、新たな使用体験を提供する可能性があるだろう。
一方で、3nmプロセスの継続的な改良により、標準モデルでも十分な性能向上が期待できる。この戦略により、Appleは幅広い価格帯で競争力のある製品を提供し続けることができるだろう。
最終的に、この技術革新がもたらす恩恵を、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせてどのようにユーザー体験の向上につなげるかが重要になるだろう。
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