Appleが初めて自社開発した5Gモデム「C1」を搭載したiPhone 16eの初期テスト結果が複数のメディアから報告された。テストによれば、C1モデムはミリ波をサポートしていないものの通常の5G通信速度ではiPhone 16シリーズと同等のパフォーマンスを示し、電力効率では約25%の向上を達成。これにより同サイズの他のiPhoneを大幅に上回るバッテリー持続時間を実現している。
通信速度と電力効率性のテスト結果
中国のレビューサイトGeekerwanが特殊な合成セルタワーを用いた研究室テストと地下鉄での実地テストを実施。iPhone 16eは通常の5G速度において他のiPhone 16モデルと同等の接続安定性と信号強度を記録した。対照的に、カナダのYouTuberであるによるOoklaのスピードテストでは、iPhone 16eが200Mbpsのしきい値を簡単に超え、iPhone 16 Pro Maxを大幅に上回る結果を示した。このテストではC1モデムがSnapdragon X71よりも約40%高いダウンリンク能力を発揮したが、これは特定の地域条件下での結果であり、地域によって異なる可能性がある
電力効率については、高信号強度条件での平均電力消費がiPhone 16の0.88ワットに対してiPhone 16eは0.67ワット(約24%減)、低信号テストではiPhone 16の0.81ワットに対してiPhone 16eは0.67ワット(約17%減)となり、Appleが主張する25%の省電力化にほぼ近い結果となった。
卓越したバッテリー持続時間
この省電力性能は実際のバッテリー持続時間にも反映されている。5Gビデオストリーミングテストでは、iPhone 16eが7時間53分、iPhone 16が7時間、iPhone 16 Proが6時間54分という結果に。iPhone 16eは同サイズの他モデルと比較して約1時間長く動作した。
別のテストではWiFi経由でのRedditのWevサイト継続読み込みで、iPhone 16eは12時間54分持続し、iPhone 16 Pro Maxの13時間41分に次ぐ結果を記録。通常のiPhone 16の11時間17分を大幅に上回り、さらには昨年のiPhone 15 Pro Maxよりも長持ちする結果となった。
バッテリーサイズと効率性による相乗効果
iPhone 16eの優れたバッテリー性能は、C1モデムの高効率化と大容量バッテリーの組み合わせによるものだ。iPhone 16eは3,961mAhのバッテリーを搭載しており、これはiPhone 16の3,561mAhより約11%大きい。
各モデルのバッテリー容量比較:
- iPhone 16 Pro Max:4,685mAh
- iPhone 16 Plus:4,674mAh
- iPhone 16e:3,961mAh
- iPhone 16 Pro:3,582mAh
- iPhone 16:3,561mAh
iPhone 16eがより大容量バッテリーを搭載したiPhone 15 Pro Maxを上回る持続時間を示した点は、A18チップとC1モデムの効率性が単なるバッテリー容量以上に重要である証左といえる。
自社開発モデムの意義と将来性
C1モデムはAppleがIntelのモデム事業を10億ドルで買収し、5年以上かけて開発した成果である。速度面では画期的な記録を打ち立てたわけではないが、電力効率の面で大きな進歩を遂げており、これはAppleが独自のシリコン設計によってQualcommへのライセンス料削減以上の価値を創出していることを示している。
現在のC1モデムはミリ波をサポートしていないという制限があるものの、Appleは既に次世代のC2モデムを開発中と報じられている。米国でもmmWave普及率は限定的であり、多くの地域ではさらに低いため、実用上の影響は限られるだろう。今後のバージョンではさらなる性能と効率性の向上が期待される。
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