オーストラリアのデザインプラットフォーム企業Canvaは、急速に拡大するAI市場で存在感を示すべく、同じくオーストラリアのAIスタートアップ企業Leonardo.aiを買収することを発表した。この戦略的買収により、CanvaはAdobeやMicrosoftなどの競合他社に対抗しつつ、クリエイティブAIツールの開発を加速させる狙いだ。
AI市場で存在感を示すために2つのオーストラリア企業が協力
Canvaは、ビジュアルデザインプラットフォームとして知られる企業だが、今回のLeonardo.aiの買収により、AIツールの開発に本格的に乗り出す。Leonardo.aiは2022年末に設立されたばかりのスタートアップだが、すでに1900万人以上の登録ユーザーを抱え、10億枚以上の画像生成に貢献している。
Canvaの共同創業者であり最高製品責任者のCameron Adams氏は次のように述べている。
「Leonardo.AIをCanvaに迎え入れることを大変嬉しく思います。AIと創造性の分野で世界初のブレークスルーをもたらすため、2つのオーストラリア企業が力を合わせることになります。この分野は常に進化しており、Leonardoの技術的リーダーシップとコミュニティへの影響力は計り知れません。私たちの世界を結びつけることで、それぞれのチームの仕事を加速させ、さらなる強みへと導いていきます。早速始めるのが待ちきれません」。
買収の詳細な金額は明かされていないが、現金と株式の組み合わせであるとAdams氏は述べている。Leonardo.aiの120人の従業員全員がCanvaに加わることになり、経営陣も残留する。
Leonardo.aiは、テキストから画像や動画を生成するAIツールを提供している。同社の特徴は、ユーザーに高度な制御を与えている点だ。例えば、「Live Canvas」機能では、テキストプロンプトを入力し、望む結果の概略をスケッチすると、AIがテキストとスケッチの両方のプロンプトに基づいてリアルタイムで写実的な画像を生成する。
Canvaは、Leonardo.aiの技術を自社の「Magic Studio」というAIツールスイートに統合する計画だ。これにより、既存のMagic Studioツールの機能強化や、Leonardo.aiのモデルを活用した新しい生成AI機能の導入が期待される。
この買収は、CanvaがAdobeのような大手クリエイティブソフトウェア企業に対抗するための重要な一手とも言える。特に、Leonardo.aiの技術はAdobeのFirefly生成AIモデルに対抗しうるものとして位置付けられている。
しかし、AIモデルのトレーニングデータに関する透明性の問題は依然として課題だ。Leonardo.aiは、そのモデルが「ライセンス取得済み、合成、および公開/オープンソースのデータ」を使用してトレーニングされていると述べているが、具体的な詳細は明らかにされていない。
Canvaは、クリエイターの権利を尊重しつつAI技術を推進するという難しいバランスを取る必要がある。同社は既に、AIモデルのトレーニングに使用されるコンテンツに同意したクリエイターに対し、今後数年間で2億ドルを支払うことを約束している。
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