NVIDIAのGeForce RTX 50シリーズGPUで、仕様よりも少ないROP(Raster Operations Pipeline)数が報告される問題が拡大している。当初、NVIDIAはRTX 5090/5090DおよびRTX 5070 Tiのみが影響を受けるとしていたが、新たにRTX 5080でも同様の問題が確認されている。
RTX 5080でもROP不足が確認される
GeForce RTX 5090とRTX 5070 Tiの一部のGPUで、本来の仕様よりもROP(Raster Operations Pipeline)ユニットの数が少ない問題が以前報じられていたが、新たにGeForce RTX 5080でも同様の事例が確認された。Redditユーザーの「gingerae90」氏がGPU-Zのスクリーンショットを公開し、GeForce RTX 5080 Founders EditionのROP数が、本来は112基であるべきところが104基と表示されていることを明らかにした。
GPU-Zは、GPUのスペック情報を詳細に表示するソフトウェアであり、今回の問題もTechPowerUpによる最初の報道でGPU-Zが用いられたことで明るみに出た。gingerae90氏の報告も最新バージョンのGPU-Zによるものであり、Vulkanサポートも有効になっていることが確認されている。また、ドライバーの再インストール後も同様の結果が得られたことから、ソフトウェア側の誤表示ではないことが検証された上での報告だ。
ROP不足の影響とNVIDIAの対応
ROPは、ラスタライズ処理において、ピクセルの色のブレンド、アンチエイリアス処理、テクスチャメモリへの書き込み、フレームバッファへの最終的なピクセル値の格納など、最終段階の処理を担う重要なユニットである。ROPユニットの減少は、GPUのラスタライズ性能、特にピクセルフィルレートに直接的な影響を与え、ゲームによってはパフォーマンスの低下につながる可能性がある。TechPowerUpは、8基のROPユニットの減少は、ラスタライズ性能において約4.54%の損失に相当する可能性があると指摘している。
なお、現在までにROP不足が確認されたGPUと不足数は以下の通りとなる:
- GeForce RTX 5090(D): 168 (本来は176)
- GeForce RTX 5080: 104 (本来は112)
- GeForce RTX 5070 Ti: 88 (本来は96)
NVIDIAは、ROP不足によるパフォーマンスへの影響は平均で約4%であると述べている。ただし、ROPに依存する処理が多いゲームでは、影響が大きくなる可能性がある。また、ユーザーは正規の価格で製品を購入しているため、性能低下は許容できないだろう。
NVIDIAは、影響を受けるのはRTX 5090/5090DおよびRTX 5070 Tiのみで、製造されたGPU全体の0.5%未満であると発表していた。しかし、RTX 5080での問題発覚により、影響範囲が当初の発表よりも広い可能性が出てきた。
早い段階で問題が明らかになり、影響は限定的と思われたが、時間の経過とともに、一般消費者向けGPU業界にとってより大きな問題に発展する可能性も出てきた。
ユーザーは、期待されるパフォーマンスを得られない可能性があるため、ROP不足の問題は看過できない。特に、RTX 5080は、Founders Editionおよび他社製ベースモデルが199,800円という高価格帯であるにもかかわらず、この問題が発生していることは、ユーザーの不満を招くだろう。
XenoSpectrum’s Take
NVIDIAのGeForce RTX 50シリーズにおけるROP不足問題は、当初の発表よりも深刻な状況にある可能性が示唆される。特に、ハイエンドモデルであるRTX 5080での問題発覚は、NVIDIAの品質管理体制に対する疑念を抱かせる。
ROPはGPUの基本的な性能に関わる重要な要素であり、その不足はユーザー体験に直接的な影響を与える。NVIDIAは、問題の範囲と原因を徹底的に調査し、透明性のある情報開示を行うとともに、影響を受けるユーザーに対して適切な対応を取る必要がある。
半導体業界全体としても、この問題を教訓に、品質管理体制の強化と、問題発生時の迅速かつ適切な対応の重要性を再認識すべきである。
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