Googleが自社製スマートフォン向けチップセット「Tensor」の製造パートナーを、現在のSamsungから台湾のTSMCに変更する計画は何度か報じられているが、新たな情報では、これが一時的な物ではなく、継続的な物になる可能性が示されている。
GoogleがTensor製造をTSMCへ移行する理由
Googleは、次世代のTensor G5チップセットから、その製造をTSMCに委託する方針だ。更に、その次のTensor G6についてもTSMCでの製造を予定しているという。この決定の背景には、Samsungの3nmプロセスの低い歩留まりが大きく影響していると報じられている。
韓国メディアによると、Samsungの3nm GAA(Gate-All-Around)プロセスは、依然として歩留まりがわずか20%程度にとどまっているという。一方、TSMCの3nmプロセスの歩留まりは約80%と報告されており、この大きな差がGoogleの決断を後押ししたとみられる。
半導体業界の関係者は、「GoogleがTSMCとの協力関係を築けば、Samsungに製造を戻すまでにはかなりの時間がかかるだろう」と述べている。また、Samsungが再びGoogleを顧客として取り戻すには、「製品性能を証明するために歩留まりを改善することが最善の道筋だ」とも指摘している。
TSMCの先端プロセスとGoogleの将来計画
GoogleのTensor G5チップセットは、TSMCの第2世代3nmプロセスで製造される見込みだ。このチップセットは2025年に登場すると予想されるPixel 10シリーズに搭載される予定である。
さらに注目すべきは、2026年に予定されているPixel 11シリーズ向けのTensor G6チップセットだ。報道によると、GoogleはTensor G6の製造にTSMCの2nmプロセスを採用する計画だという。これは、Googleが最先端の半導体製造技術を積極的に採用し、スマートフォン市場での競争力を高めようとしていることを示している。
TSMCは現在、第2世代3nmプロセスに加え、さらに進化した「N3P」と呼ばれる第3世代3nmプロセスも開発中だ。このため、GoogleがTensor G6で直接2nmプロセスを採用するか、あるいは中間的な選択肢として「N3P」を選ぶ可能性も考えられる。
Xenospectrum’s Take
GoogleのTSMCへの移行は、単なる製造パートナーの変更以上の意味を持つ戦略的な動きだと考えられる。Tensorチップの性能向上は、GoogleのPixelスマートフォンの競争力を直接左右する重要な要素だ。TSMCの先端プロセスを採用することで、GoogleはAppleやQualcommなど、ハイエンドチップ市場のリーダーたちと肩を並べる機会を得ることになる。
しかし、この動きはSamsungにとって大きな痛手となる可能性がある。GoogleだけでなくQualcommもSnapdragon 8 Gen 4の製造をTSMCに移行すると報じられており、Samsungの半導体事業部門は重要な顧客を失うリスクに直面している。
今後、GoogleとTSMCの協力関係がどのように発展し、スマートフォン市場にどのような影響を与えるのか、業界全体が注目している。同時に、Samsungが製造プロセスの改善にどう取り組み、失った顧客をどのように取り戻すのか、その動向も見逃せない。半導体業界の競争は、スマートフォンの性能向上と革新を加速させる原動力となるだろう。
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