Googleは、AI駆動のコーディングアシスタント「Gemini Code Assist」の個人向け無料版の提供を開始した。月間18万件というコード補完数の上限は、GitHub Copilotなど競合サービスの90倍に相当し、学生からフリーランサーまで幅広い開発者の生産性向上が期待される。
高い利用上限と豊富な機能を無料で提供
Gemini Code Assist for Individualsと名付けられた無料版は、GoogleのGemini 2.0人工知能モデルを基盤としている。このツールは、コードブロック全体の生成、入力中のコード補完、チャットボットインターフェースを通じた一般的なコーディング支援などの機能を提供する。Visual Studio Code、GitHub、JetBrainsなどの主要な開発環境にインストール可能で、パブリックドメインのすべてのプログラミング言語をサポートしている。
最も注目すべき点は、その高い利用上限だ。月間18万件のコード補完と1日240件のチャットリクエストが可能で、これはGitHub Copilotの無料プランが提供する月間2,000件のコード補完と50件のチャットメッセージの約90倍に相当する。GoogleのシニアディレクターであるRyan J. Salva氏は「今日最も献身的なプロの開発者でさえ、この上限を超えるのは難しいだろう」と述べている。
また、12万8千トークンのコンテキストウィンドウを提供することで、競合他社の4倍以上の量のコードを一度に処理できる。これにより、より複雑なコードベースに対する理解と支援が可能になる。
GitHubとの統合によるコードレビュー機能
同時に発表されたGemini Code Assist for GitHubは、プルリクエストを自動的にスキャンしてバグやスタイルの問題を検出し、コードの改善案を提案する機能を提供する。これにより、開発者は繰り返し行われるタスクから解放され、より創造的なコーディングに集中できるようになる。
チームはリポジトリに特別な設定ファイルを追加することで、コードレビューのためのカスタムスタイルガイドを定義することも可能だ。プルリクエストに「/gemini」コメントを追加するだけで、いつでもGeminiの支援を受けることができる。
AI開発ツール市場の競争激化
最近のGoogle Cloud調査によれば、開発者の75%以上が日常業務でAIツールを使用しているという。この傾向はAIコーディングアシスタント市場の著しい成長につながっており、スタートアップのAnysphereが開発したAI強化版VS CodeフォークであるCursorは、史上最速で成長するSaaS製品になっている。
Googleはこの分野でMicrosoftとその子会社であるGitHubとの競争を強化している。7ヶ月前、GoogleはGitHub Copilotチームを率いていたRyan J. Salva氏を雇い、Google開発者ツールの指揮を任せた。Salva氏はTechCrunchのインタビューで、高い利用上限を持つ無料のAIコーディングアシスタントを提供することで、キャリア初期の開発者をCode Assistへ誘導し、いずれそれらの開発者の一部がエンタープライズプランにアップグレードすることを期待していると述べた。
無料版と有料版の違い
無料の個人向け層は非常に拡張的だが、Gemini Code Assistの標準版とエンタープライズ版で利用可能な全ての高度なビジネス向け機能を含んではいない。生産性メトリクス、BigQueryなどのGoogle Cloudサービスとの統合、プライベートコードデータソースを使用したレスポンスのカスタマイズなどの機能が必要な場合は、月額54ドルからのGoogleの有料層を使用する必要がある。
Googleは約1年間、ビジネス向けにGemini Code Assistを販売してきた。12月には、このAIコーディングアシスタントがまもなくGitLab、GitHub、Google Docsなどのサードパーティツールと統合されることを発表している。
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