Intel社の次世代CPUであるArrow Lake世代に、Intel特有の熱制御機能「Fast Throttle」が搭載される可能性が高まっている。Raptor Lakeから搭載されたこの機能は、コアごとに細かにその動作を制御することで発熱を抑制し、全体のパフォーマンス向上をもたらす物だ。
Fast Throttleがもたらす高度な熱制御とパフォーマンスの向上
Fast Throttle、別名「Per-Core Thermal Throttle」は、第13世代Raptor Lake プロセッサで初めて導入された熱制御ソリューションだ。
従来のサーマルスロットリングでは、CPUの温度が上昇すると全体の動作周波数や電圧を下げることでチップを保護していた。これに対しFast Throttleは、“クロック・モジュレーション”と呼ばれる手法を用いて熱制御を行う点に特徴がある。この手法では、特定のCPUコアに対する物理的なクロックをオン/オフすることで、チップのパフォーマンスと消費電力を調整するのだ。従来の周波数/電圧の変更や、ターボブースト機能の操作とは異なり、クロック速度を変更するのではなく、特定の時間だけ特定のCPUコアのクロックを完全に停止させる。その結果、より微妙な熱管理が可能になるのだ。いくつかのコアの温度が急上昇している場合、Fast Throttleは他のコアのパフォーマンスを妨げることなく、選択的に温度を下げることが可能となる。
最も注目すべき点は、Fast Throttleがコア単位での熱制御調整を可能にすることだ。これにより、過熱しているコアのみを制御することができ、他のコアのパフォーマンスを維持することが可能となる。
この機能は、Raptor Lakeにも搭載はされていたが、ユーザーが手動で設定するための機能はロックされており、Raptor Lake Refreshからユーザーは細かな調整が利用可能になった。現代のハイブリッドCPUは高温で動作するため、オーバークロッカーは熱制御を考慮しながらパフォーマンスを最適化する必要がある。Fast Throttleは、熱制約のある状況下でのパフォーマンス最適化の新たな方法を提供するため、オーバークロッカーにとって非常に有用なツールとなった。
Fast Throttleは、他の熱制御ソリューションよりも決定的に優れているわけではないかも知れないが、Intelがコアごとのサーマルスロットリングをサポートしている唯一のものであり、コア数の多いチップでは有利に働く可能性がある。
Intelは、第15世代Arrow Lakeプロセッサーを2024年後半、おそらく10月から12月の間に発売する予定だ。
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