Intelは、コードネーム「Lunar Lake」と呼ばれている次世代ノートPC向けプロセッサ「Core Ultra 200V」を9月3日に正式発表することを明らかにした。新しい「Core Ultra 200V」シリーズは、AIパフォーマンスの大幅な向上と電力効率の改善を特徴とし、QualcommやAppleのArmベースチップ、そしてAMDのRyzen AI 300シリーズに対抗する Intel の野心的な挑戦となる。発表は、ドイツ・ベルリンで開催されるIFA 2024に合わせて行われる予定だ。
Lunar Lake「Core Ultra 200V」CPU は、大幅なアーキテクチャ変更により薄型軽量ラップトップに搭載される
IntelのMichelle Johnston Holthaus氏と Jim Johnson氏が主導するライブストリームイベントでは、Lunar Lakeプロセッサの詳細が明かされる。このイベントでは、x86アーキテクチャにおける画期的な電力効率、卓越したコアパフォーマンス、グラフィックス性能の飛躍的向上、そして比類なきAIコンピューティング能力に焦点が当てられる予定だ。これらの特徴は、現代のノートPCユーザーが求める高性能と長時間バッテリー駆動の両立を目指したものである。
Lunar Lakeは、Intelにとって重要な転換点を示すプロセッサだ。このチップは完全に刷新されたデザインを採用し、これまでのIntelチップを搭載したノートPCのメモリとは異なり、16GBまたは32GBのLPDDR5x-8533メモリをパッケージに統合する革新的なアプローチを取っている。この変更により、デバイスの小型化と電力効率の向上が期待される一方で、ユーザーによるメモリのアップグレードが不可能になるというトレードオフも生じている。
プロセッサの内部構成も大きく進化している。新しい「Lion Cove」Pコアと「Skymont」Eコアを最大4コアずつ搭載し、より効率的なタスク処理を実現する。さらに、最大8コアの「Xe2」GPUを統合することで、グラフィックス性能も大幅に向上している。特筆すべきは、AIパフォーマンスを飛躍的に高める48 TOPSのNPU4の搭載だ。これにより、合計120TOPSのAI演算能力を実現し、ローカルでの生成AIアプリケーションの実行など、次世代のコンピューティングニーズに応える準備が整っている。
Lunar Lake は主に薄型軽量ノートPC、ハンドヘルドデバイス、Mini PCなどを対象としており、17Wと30Wの2つの電力設定で提供される予定だ。この幅広い電力設定により、様々な用途や形状のデバイスに柔軟に対応することが可能となる。
Intel CEOのPat Gelsinger氏は、Lunar Lakeを搭載した80以上のデザインが今秋に出荷されると述べており、業界からの期待も高まっている。また、デスクトップ向けの関連チップである「Arrow Lake」も2024年第4四半期に登場する予定であり、Intelの新世代プロセッサファミリーの全容が徐々に明らかになりつつある。
Lunar Lake の登場により、Windows on Armプラットフォームとの競争が本格化すると見られている。QualcommやAppleのArmベースチップが提供する優れたバッテリー寿命に対し、Intelがx86アーキテクチャでどこまで追随できるかが注目されている。さらに、Microsoft Copilot+の要件に完全に準拠した最初のプロセッサとなることで、「AI PC」セグメントにおけるIntelの地位を強化することも期待されている。
なお、Intelのライブストリーミングイベントは同社によって「発表イベント」と称されているものの、店頭での入手可能性についてはまだ明らかになっていない。Intelの発表イベントは Lunar Lake のソフト ローンチになる可能性もあるため、実際に製品が出回るまで事態を見守る必要がありそうだ。
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