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iOS 19とmacOS 16、visionOS風の大規模デザイン刷新へ – Appleの次世代プラットフォーム戦略

2025年3月11日

Appleが2025年に予定しているiOS 19、iPadOS 19、macOS 16では、iOS 7以来最大となる大規模なデザイン刷新が実施される見込みだ。Bloombergの報道によれば、visionOSをベースにした新デザインは、iPhone、iPad、Macのプラットフォーム間の一貫性を高め、ユーザーインターフェースを簡素化することを目指している。

iOS 7以来最大のデザイン刷新の全容

Bloombergの報道によれば、iOS 19(コードネーム「Luck」)は「Appleの歴史の中で最も劇的なソフトウェアの大規模な変更の1つ」になるという。特にiPhoneにおいては、スキューモーフィックデザインからフラットデザインへと大転換し、現代のAppleデザイン言語の基礎を築いた2013年のiOS 7以来、「最大の刷新」になると位置付けられている。

iOS 7では、リアルな質感を模倣する擬物的なデザインから、単色で平面的なミニマリスティックなインターフェースへと一変した。今回のiOS 19でも同等レベルの劇的な変化が予想されている。

同様に、macOS 16(コードネーム「Cheer」)も大きな変化をもたらすとされている。2020年のmacOS Big Surでは、Dockのデザイン変更、通知センターの刷新、コントロールセンターの導入、アプリアイコンの統一などが行われた。Bloombergによれば、macOS 16はBig Sur以来、「Macへの最も重要なアップグレード」になるという。

この大規模な変更は単なる見た目の変更にとどまらず、ユーザーインターフェースの根本的な刷新になるという。

visionOSにインスパイアされた新デザイン要素

これまでにも同様の報道はあったが、そのどれもが一致して報じているのは、新デザインがApple Vision ProのオペレーティングシステムであるvisionOSに「緩く」基づいているという点だ。これにより、アイコン、メニュー、アプリ、ウィンドウ、システムボタンのスタイルが一新される。

visionOSの特徴的な要素としては、浮遊感のあるインターフェース、奥行きを感じさせる3D的な表現、柔らかな光と影の表現、半透明の美しいグラス効果などが挙げられる。iOS 19とmacOS 16では、メニューにより多くの「深さ」、「透明性」、「フローティングウィンドウ」が採用される可能性が高いという。

具体的には、アプリのメニューやコントロールパネルが空間に浮かぶような表現になり、背景との関係性がより立体的になる可能性がある。また、通知やコントロールセンターなどのUIパーツが、より流動的でアニメーションが豊かになることも予想される。

ただし、各プラットフォームが完全に統合されるわけではなく、AppleはiPadとMacを別々の製品として維持する方針だと複数の情報源が報じている。したがって、デザイン言語は共通化されるが、タッチスクリーンのiPhoneやiPadと、キーボードとマウスを主に使用するMacでは、基本的な操作性の違いは維持されるものと見られる。

Appleの戦略的背景と目的

今回の大規模なデザイン刷新の背景には、複数の戦略的目的があると報じられている。

最も重要な目的は、Appleの全プラットフォームでのユーザー体験の一貫性を高めることだ。これにより、iPhoneユーザーがiPadやMacに移行する際の学習コストを下げ、エコシステム全体での使い勝手を向上させることができる。ユーザーがデバイスを「ナビゲートおよび制御する方法を簡素化する」とBloombergは報じている。

また、この変更はパンデミック時代の売上を取り戻す目的もあると見られている。2021年に記録的な成長を遂げたAppleだが、その後は成長が鈍化。大規模なデザイン刷新によって新たな購買意欲を喚起し、特にMacとiPadの売上を刺激する狙いがあるとされている。

そして、この劇的なデザイン変更は、遅延しているApple Intelligence機能、特にSiriの大幅な刷新からユーザーの注意をそらす効果も期待される。当初iOS 18.4で提供予定だった、よりパーソナライズされたSiriの導入は延期されており、これを補完する戦略という見方もある。NotebookCheckも同様に、AppleがAI機能の面で競合他社より数年遅れていることを隠す狙いがあると分析している。

発表とリリースの予定

新しいデザインを採用したiOS 19、iPadOS 19、macOS 16は、2025年6月に開催されると予想されるWorldwide Developers Conference(WWDC)で発表される見込みだ。従来通りであれば、iOS 19は数ヶ月のベータテスト期間を経て、9月にiPhone 17ラインアップと共にリリースされる予定と見られる。

開発者向けのベータ版は6月のWWDC直後にリリースされ、パブリックベータ版は7月頃に提供開始される可能性が高い。最終版は例年通り9月に一般ユーザー向けにリリースされるパターンが予想される。

macOS 16についても同様のタイムラインが予想されるが、過去の例から見て、iOSよりもやや遅れて2025年10月頃にリリースされる可能性が高い。

iOS 18.4で提供予定だった新しいSiri機能は延期されており、iOS 19で導入される可能性があるが、さらに延期される可能性もAppleInsiderは指摘している。Bloombergの報道によれば、進化したSiriの導入はiOS 20まで延期される可能性もあるという。

ユーザーへの影響と業界の展望

このデザイン刷新がユーザーに与える具体的な影響としては、操作性の変化が挙げられる。visionOSの要素を取り入れることで、特に新しいジェスチャー操作や視覚的なフィードバックが導入される可能性がある。例えば、アプリ間の移動やマルチタスクの方法が変わり、より直感的になる可能性がある。

一方で、このような包括的なデザイン変更は多くのユーザーにとって受け入れるのが難しい可能性もある。過去の大規模なデザイン変更、特に2013年のiOS 7導入時には、急激な変化に対してユーザーから強い批判の声が上がった。同様に、今回の変更でもAppleは一定の批判に直面する可能性が高い。

業界的な観点では、visionOSの要素を取り入れることで、AppleのエコシステムにApple Vision Proをより自然に統合する基盤が作られるという戦略的意義がある。長期的には、空間コンピューティングの要素を徐々にすべてのデバイスに浸透させていく戦略の一環と見ることもできる。

さらに、このデザイン刷新はAppleの次世代デバイス戦略を示唆している可能性もある。AR(拡張現実)グラスなど、将来的な新デバイスへの布石と見ることもでき、Appleのエコシステム全体を未来のコンピューティング体験に向けて準備しているとも考えられる。

iOS 19とmacOS 16のデザイン刷新は、単なる見た目の変更にとどまらず、Appleの次世代プラットフォーム戦略を示す重要な転換点になる可能性がある。今後数ヶ月の間に、より具体的な詳細が明らかになることが期待される。


Sources

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