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JAL、サイバー攻撃を受け全国で航空便に遅延、チケット販売を一時停止

Y Kobayashi

2024年12月26日

日本航空(JAL)は12月26日(木)朝、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃とみられるサイバー攻撃を受け、全国で航空便に遅延が発生。国内・国際線のチケット販売を一時停止する事態となった。

攻撃の経緯と直接的な影響

サイバー攻撃は12月26日午前7時24分に始まり、JALの内部システムと外部システムの両方に影響を及ぼした。特に手荷物チェックインネットワークが大きな打撃を受け、空港カウンターでの通常業務に支障をきたした。JALは事態を重く見て、攻撃の発生から数時間後には当日の国内線・国際線のチケット販売を全面的に停止する決断を下した。ただし、すでに購入済みのチケットについては、そのまま利用可能な状態を維持した。

捜査関係者によると、JALは警視庁に被害を届け出ており、システムに対して短時間で大量の通信が送り付けられる「DDoS攻撃」の可能性が高いとみて調査が進められている。この種の攻撃は、正規のユーザーがサービスを利用できないよう、システムを意図的に機能不全に陥れることを目的としている。

JALは問題の発生源とみられるルーターを一時的に遮断するなどの対策を講じ、午後2時20分までにはシステムの復旧を実現。同社の調査により、顧客の個人情報やデータの流出は確認されず、またウイルス感染の痕跡も見つからなかったことが明らかになった。しかし、この7時間に及ぶシステム障害により、全国で少なくとも24便の国内線に最大1時間の遅延が発生。国際線でも同様の混乱が報告された。

この影響は航空業界にとどまらず、JALの航空機を利用して輸送業務を行っている日本郵便にも波及。同社は全国規模で郵便物やゆうパックの配送に遅延が発生すると発表し、輸送手段を他の航空会社に切り替えるなどの代替措置を講じることを余儀なくされた。年末の繁忙期という時期だけに、この突発的なシステム障害は、旅客と物流の両面で広範な混乱を引き起こす結果となった。

地域別の影響と対応

システム障害の影響は日本全国の空港に波及し、特に主要空港では顕著な混乱が観察された。羽田空港第一ターミナルでは午前10時半頃、出発ロビーのチケットカウンターに長時間の待ち行列が発生。多くの乗客がスマートフォンで最新情報を確認したり、地上スタッフに状況を問い合わせたりする姿が見られた。手荷物預け入れカウンターにも同様の混雑が生じ、年末の帰省シーズンと重なったことで、乗客の不安と焦りが高まる状況となった。

関西圏の空港では、関西国際空港において午前9時25分発の新千歳行きの便と、午前10時15分発の上海行きの便に遅延が発生。大阪空港でも羽田行きの4便に影響が出た。和歌山県の南紀白浜空港では、羽田行きの便が予定より約45分遅れで出発する事態となった。

北海道地域では、新千歳空港を中心に深刻な影響が出た。羽田便を中心に少なくとも5便に1時間程度の遅延が発生し、その影響は旭川空港や帯広空港にも波及。寒冷地での足止めとなった乗客たちは、長時間の待機を強いられることとなった。

九州・沖縄地域においては、福岡空港で羽田行きの2便が30分から1時間の遅延を記録。北九州空港、長崎空港、宮崎空港、鹿児島空港、那覇空港でも午前中を通じて最大1時間程度の出発遅延が続いた。一方で、成田空港では比較的影響が軽微で、午前10時半の時点で搭乗手続きは通常通り行われ、大きな遅延は報告されなかった。

四国地域では、高松空港の羽田行き便、徳島空港発の羽田行き便がそれぞれ45分程度の遅延を記録。高知空港でも午前9時40分発の羽田行き便が約30分遅れで出発するなど、地方空港においても混乱が広がった。

これらの事態を受け、政府は迅速な対応を取った。林芳正官房長官は記者会見で、国土交通省を通じてJALにシステムの早期復旧と影響を受けた顧客への適切な対応を要請したことを明らかにした。一方で、全日本空輸(ANA)、スカイマーク、ソラシドエア、スターフライヤーなどの他の航空会社は通常運航を維持。これにより一部の乗客は代替便への振り替えが可能となり、影響の軽減に寄与した。

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