Qualcommの次世代フラッグシップSoC「Snapdragon 8 Gen 4」のベンチマークと見られるものがリークされ、その期待の性能の一端が明らかになった可能性がある。この結果が事実ならば、このチップセットは現行のSnapdragon 8 Gen 3を大きく上回り、AppleのA17 Proとも互角以上の性能を示していることになり、Androidスマートフォンの新たな時代の幕開けとも言える物になりそうだ。
Snapdragon 8 Gen 4の驚異的な性能向上はOryon CPUと3nmプロセスの結果か
Geekbenchで確認されたとされるSnapdragon 8 Gen 4の結果は、シングルコアスコアが2884ポイント、マルチコアスコアで8840ポイントを記録している。これは前世代のSnapdragon 8 Gen 3と比較して、シングルコアで約35%、マルチコアで約30%という大幅な性能向上となっている。この驚異的な性能向上は、Qualcommが採用した新しいOryon CPUアーキテクチャとTSMCの最先端3nm「N3E」プロセスの採用によるものと考えられる。
Snapdragon 8 Gen 4は「2 + 6」クラスタ構成を採用していると報告されており、高性能コアと効率重視コアのバランスを取ることで、消費電力と性能のトレードオフを最適化していると推測される。Snapdragon 8 Gen 4には、Windows PC向けに最近発売されたSnapdragon Xチップで採用された、独自開発の「Oryon CPUコア」が採用されると言われており、4.10GHzでクロックされているとされる。この数値は当初検討されていた4.26GHzから若干下方修正されたもので、熱制御の課題に対応するための妥協点であると考えられるが、それでもなお驚異的な性能を実現している。
AppleのA17 Proとの比較では、Snapdragon 8 Gen 4はマルチコア性能でわずかに上回り、シングルコア性能ではやや下回る結果となっている。しかし、これらの結果は初期のサンプルによるものであり、Qualcommは正式リリースまでにさらなる最適化を行う可能性が高い。そのため、最終的な製品ではさらなる性能向上が期待される。
GPUに関しては、Adreno 830の採用が見込まれており、効率性の面で特に注目を集めている。ある情報筋によると、このGPUはMediaTek Dimensity 9300のピーク性能の半分の消費電力で同等の性能を発揮できるという。この革新的な効率性は、モバイルゲーミングや拡張現実(AR)アプリケーションの性能を大幅に向上させる可能性がある。
さらに、Snapdragon 8 Gen 4は新たなGPUによるフレーム生成技術を導入すると言われている。これにより、『原神』のような高負荷ゲームを1080p解像度で120fpsでの動作を可能にするとされる。この技術は、PCゲーミングで使用されているDLSS(Deep Learning Super Sampling)に類似した機能を提供し、モバイルゲーミング体験を一新する可能性がある。
Snapdragon 8 Gen 4を搭載したデバイスは2025年に登場する見込みで、Xiaomi 15シリーズが最初に採用するとの噂がある。また、Samsung Galaxy S25シリーズには若干オーバークロックされた「Snapdragon 8 Gen 4 for Galaxy」が搭載される可能性も示唆されている。これは、Samsungとの戦略的パートナーシップの継続を示すものであり、高性能Android端末市場におけるQualcommの強固な地位を裏付けている。
一方で、競合他社も黙っていない。SamsungのExynos 2500がSnapdragon 8 Gen 4を性能面で上回る可能性があるとの情報もある。MediaTekもDimensity 9400でパフォーマンスコアのみの構成にすることで圧倒的な高性能を実現する可能性も指摘されており、また、AppleはA18チップの開発を進めており、次世代iPhoneでの採用が予想される。
Qualcommは例年通り10月頃にSnapdragon 8 Gen 4を正式発表すると予想されており、その際により詳細な仕様や性能データが明らかになるだろう。この新チップセットは、5G通信、AI処理、カメラ性能など、様々な面での進化が期待されており、Android陣営にとって次世代のモバイルコンピューティングの核となる重要な存在となりそうだ。
Source
- Geekbench Browser: Manufacturer Model
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