Meta(旧Facebook)は、世界最長の海底ケーブルプロジェクト「Project Waterworth」を発表した。このプロジェクトは、AI技術の進歩とグローバルなデジタルインフラの強化を目的とし、5大陸を結ぶ総延長50,000kmを超える大規模なものとなる。
世界最長5万km、5大陸を結ぶ海底ケーブル
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Metaは、地球の円周よりも長い、総延長5万kmにも及ぶ壮大な海底ケーブルプロジェクト「Project Waterworth」を発表した。これは、現時点で世界最長となる24ファイバーペアの海底ケーブルであり、米国、インド、ブラジル、南アフリカを含む5つの大陸を接続する壮大な計画である。
MetaのネットワークエンジニアであるGaya Nagarajan氏とAlex-Handrah Aimé氏は、「Project Waterworthは、世界のデジタルハイウェイの規模と信頼性を強化するための、数十億ドル規模の複数年にわたる投資です。世界中でAIイノベーションを推進するために必要な、豊富で高速な接続性を持つ3つの新しい大洋横断回廊を開設します」と述べている。
具体的なルート、費用、完了時期は明らかにされていないが、一部報道では総費用が20億ドルに達する可能性や、インドにおいてはJioのデータセンターに接続される可能性が示唆されている。以前TechCrunchによって報じられた際には100億ドル規模になることが予想されたが、実際の費用はそこまで莫大な物にはならないようだ。
AI時代のデータ需要を支えるインフラ
Project Waterworthは、AI技術の急速な発展と、それに伴うデータセンター間のデータ通信量増加を見据えた戦略的な投資と見られる。Metaは、AIが社会や産業構造を大きく変革する中で、その恩恵を世界中の人々が享受できるよう、インフラ投資を積極的に進めているのだ。
Metaは、これまでにも20以上の海底ケーブルプロジェクトに参画しており、その中にはアフリカ大陸を中心に33カ国を結ぶ「2Africa」ケーブルも含まれている。「2Africa」は当初、世界最長となる予定であったが、「Project Waterworth」はその規模をさらに上回る。そして、このプロジェクトはMeta初の完全所有のプロジェクトとなる。
海底ケーブルは、国際データ通信の95%以上を担う、現代社会に不可欠なインフラである。「Project Waterworth」のような大規模プロジェクトは、デジタルコミュニケーション、オンライン取引、ビデオストリーミングなど、グローバルなインターネットサービスの基盤を支え、AI技術の発展を加速させる役割を担う。
技術革新と高耐久性
「Project Waterworth」には、最新の技術が投入されている。24ファイバーペアという大容量伝送技術に加え、水深7,000メートルまでの深海敷設を可能にするルーティング技術や、海岸付近の浅瀬など、船の錨などによるケーブル損傷リスクの高いエリアにおける埋設技術が採用される。これにより、ケーブルの耐久性と信頼性を最大限に高め、安定した通信環境の実現を目指している。
Metaは、過去10年間で培ってきた海底ケーブル敷設のノウハウと技術力を活かし、「Project Waterworth」を迅速かつ効率的に展開する計画である。
XenoSpectrum’s Take
Metaによる「Project Waterworth」の発表は、同社がAI分野におけるリーダーシップを確立するための重要な戦略的一歩であると言える。世界最長の海底ケーブルを自社で保有することにより、グローバル規模でのデータインフラを強化し、AI開発競争における優位性を確立することが期待される。
また、このプロジェクトは、新興国を含む広範な地域におけるデジタルインクルージョンを促進し、デジタル経済の発展に貢献する可能性を秘めている。特にインドにおいては、デジタルインフラへの投資が加速しており、「Project Waterworth」は、その勢いをさらに加速させる起爆剤となる可能性がある。
一方で、巨額の投資回収、地政学的なリスク、競合他社との競争など、克服すべき課題も存在する。しかし、Metaの本プロジェクトへのコミットメントは、今後のグローバルデジタルインフラの発展に大きな影響を与えることは間違いない。
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