Appleが開発中の次世代AirPods Proに、心拍数モニタリングや体温測定といったヘルスケア機能、さらにAI機能と連携するカメラの搭載を検討していることが、BloombergのMark Gurman氏の報道で明らかになった。特に心拍数センサーについては、次期モデルでの実装が視野に入っているという。
高精度な生体センシング機能を搭載へ
新型AirPods Proは、これまでのオーディオデバイスとしての機能を超え、ユーザーの健康管理を支援するウェアラブルデバイスとしての性能を大幅に強化する見込みだ。現在開発中の心拍数モニタリング機能は、Apple Watchには及ばないものの、その精度は「それほど遠くない」レベルまで到達しているとGurman氏は指摘している。
加えて、体温センサーや「多様な生理学的指標を追跡する新しいセンサー」の開発も進められている。これらの機能は「今後数年をかけて」段階的に実装される計画だという。
AIとの連携を見据えたカメラ機能
現在Appleは、一度棚上げにしていたAirPodsへのカメラ搭載計画を、AI機能との統合という新たな視点から本格的に再始動させている。この機能は現在、AppleのAIチームとAirPodsハードウェア開発グループの双方にとって「優先プロジェクト」として位置づけられている。
カメラ機能の具体的な実装方法については、過去の開発過程で赤外線(IR)カメラの採用が検討されていたことが明らかになっている。この技術は、ユーザーの周囲環境をより正確に把握することで、空間オーディオ体験の品質向上に寄与すると期待されている。しかし現在の開発では、単なる音響性能の向上を超えて、より広範なAI機能との連携を視野に入れた検討が進められているという。
ただし、この野心的なプロジェクトの実現までには相当の時間を要する見通しだ。報道によれば、カメラ搭載モデルの市場投入までには「少なくとも2年以上」がかかるとされており、さらには以前同様に開発が中止される可能性も完全には否定できない。これは、小型のイヤフォンにカメラを搭載することの技術的な課題に加え、プライバシーへの配慮や実用性の検証にも慎重な時間が必要とされているためと考えられる。
実際、AppleのAIとAirPodsのハードウェア開発グループ内のチームにとって、この技術は優先事項だと考えられている。 とはいえ、この技術が市場に出回るのはあと2、3年先だろう–再びキャンセルされなければの話だが。
なお、このカメラ機能の復活は、Appleが近年注力している「Apple Intelligence」イニシアチブとの関連性が指摘されている。同社がAI時代を見据えてハードウェアとソフトウェアの両面で進めている開発戦略の重要な一端を担うものとして、業界からの注目を集めている。
Xenospectrum’s Take
Appleの次世代AirPods Pro開発戦略からは、単なるオーディオデバイスからの脱却を図る明確な意図が読み取れる。特に興味深いのは、Apple Watchに次ぐヘルスケアデバイスとしての位置づけだ。耳という装着位置を活かした独自の生体計測機能は、Apple Watchと相互補完的な関係を築く可能性を秘めている。
さらに、AIとの連携を見据えたカメラ搭載計画は、次世代のユーザーインターフェースを模索する動きとして注目に値する。ただし、プライバシーの観点から、その実装方法には慎重な検討が必要だろう。また、これだけの機能を詰め込んでバッテリー持続時間をどう確保するのか?という現実的な課題も気になるところだ。
AppleはAirPodsだけで年間180億ドルを超える巨額の売上を誇り、その規模は任天堂すらも上回る巨額の市場を築き上げている。その巨大なユーザーベースを利用して更なる健康データを手に入れる事は、Appleにとって新たな市場を開拓するためにも注力していきたい優先課題になっているのではないだろうか。
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