NVIDIAが動画配信支援アプリケーション「NVIDIA Broadcast」の大規模アップデートを予告した。同社のJacob Freeman氏によって、一般的なマイクをプロ仕様の音質に向上させる「Studio Voice」機能と、仮想的な照明効果を実現する「Virtual Key Light」機能を新たに搭載することが明らかにされた。これにより、専用機材を持たないクリエイターでもスタジオ品質の配信環境を実現できるかもしれない。
新機能が目指すスタジオクオリティの実現
NVIDIA Broadcastは、AIによって、マイクやスピーカーのノイズ除去、カメラでは本格的な大口径レンズのような背景ぼかしを実現したり、自動フレーミング等を実現する無料アプリだ。この処理はシステムがすべてのデータをローカルで行うが、そのためにはNVIDIAのRTX GPUが必要となる。
新たに実装される「Studio Voice」は、配信やビデオ会議における音声品質の大きな改善を目指した物だ。一般的なマイクでも、AIによる音声処理技術を活用することで、従来は高価な機材でしか実現できなかったスタジオ品質の音声を実現するという。この機能の特筆すべき点は、入力される音声の品質に応じて最適な処理を行う適応型のアプローチにある。すでに高品質な音声を出力できるスタジオグレードのマイクに対しては、過度な処理を避け、その本来の性能を損なわないよう設計されているとのことだ。
もう一つの目玉機能である「Virtual Key Light」は、中々自宅では導入が難しいスタジオ照明の効果をシミュレートする物だ。従来、プロフェッショナルな映像制作には、キーライト(主光源)をはじめとする複数の照明機材が不可欠とされてきた。この機能は、カメラからの入力映像をリアルタイムで解析し、物理的な照明機材がなくても、あたかもスタジオで適切な照明が当てられているかのような効果を実現する。これにより、在宅での配信やリモートワーク時のビデオ会議においても、プロフェッショナルな映像表現が可能となる。
この二つの機能は、いずれもNVIDIAが得意とするAIによるリアルタイム処理技術を活用している。ローカルでの処理により、クラウドサービスに依存することなく、低遅延での処理が実現できる点も重要な特徴だ。
ユーザーは物理的な機材投資を抑えながら、プロフェッショナルな品質の配信環境を構築できるようになる。これは、特に配信活動を始めたばかりのクリエイターや、予算の制約がある小規模な組織にとって、大きな意味を持つだろう。
加えて、アップデートではUIの大幅な改善も実施される。マイクとスピーカーの設定が「Audio」タブに統合され、マイクのテスト機能も拡充。これらの変更は、新しいNVIDIA Appのデザイン哲学に沿ったものとなっている。
技術要件と利用制限
これらの新機能の利用にはRTX GPU搭載のPCが必須となる。特に注目すべきは、「高性能GPU」が推奨されており、ゲームやGPU負荷の高いアプリケーションとの併用は非推奨とされている点だ。具体的な要件については、アップデートのリリース時期に合わせて公開される見込みだ。
なお、このアップデートのリリース時期はRTX 50シリーズの発売に合わせて計画されているが、Blackwell世代のGPUに限定される機能ではないとされている。
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