NVIDIAの最新GPU、GeForce RTX 5090およびRTX 5080の価格が、発売直後からASUSとMSIによって大幅に引き上げられている。供給不足が原因と見られ、一部モデルでは希望小売価格から最大70%も高騰している。ゲーマーやクリエイターにとって、ハイエンドGPUの入手はさらに困難な状況となっている。
発売直後の価格高騰:供給不足と追加関税の影響
NVIDIAのパートナー企業であるASUSとMSIが、GeForce RTX 5090およびRTX 5080の価格を公式に引き上げた。発売からわずか1週間での価格改定は異例。世界的な需要が供給を大幅に上回っていること、そして中国製品への追加関税が影響していると見られている。
VideoCardzの調査によると、MSIの米国オンラインストアでは、RTX 5080カードの価格が140ドルから500ドル、RTX 5090では380ドルから790ドルも値上げされているという。
ASUSの価格戦略:ハイエンドモデルほど高騰幅大
ASUSの公式Webサイトでは、複数のRTX 5090およびRTX 5080モデルが掲載されており、一部にはメーカー希望小売価格(MSPR)も記載されている。しかし、現在希望小売価格で販売されているのは、RTX 5080の「PRIME GeForce RTX 5080」のみとなっている。
ASUSの米国公式サイトでは、特にハイエンドモデルの価格高騰が顕著だ。
- ROG Astral LC RTX 5090 OC Edition (32GB):発売時の3099ドルから3410ドルへと値上げ。これは希望小売価格1999ドルを70%も上回る。
- TUF Gaming GeForce RTX 5090 OC Edition: 2,749.99ドルで販売開始。これはFEエディションより37.5%高い。
- ROG Astral RTX 5090 OC: 希望小売価格よりも53%高い価格設定。
ASUSのRTX 5080も値上げされており、ROG Astral RTX 5080 OC Editionは1,649ドルで販売。最も安価なPRIME GeForce RTX 5080 (non-OC) 16 GBモデルは、一時的に1,264ドルまで値上がりしたが、現在は「特別価格」で1000ドル以下に再調整されている。
MSIの価格設定:RTX 5080は最大50%、RTX 5090は最大39.5%の値上げ
MSIも同様に価格を引き上げている。
- RTX 5080 16G VENTUS 3X:発売時の999ドルから1,139ドルへ(14%増)。
- RTX 5090 Ventus 3X: 1,999ドルから2,379ドルへ(19%増)
- RTX 5090 SUPRIM LIQUID SOC:最上位モデルは2,789ドルで、RTX 5080版は1,499ドル。
MSIの米国オンラインストアでは、GeForce RTX 5080カードが140ドルから500ドル、RTX 5090が380ドルから790ドル値上げされている。Neweggでは、MSIのオンラインストアよりもさらに40ドルほど高い価格設定となっている。
価格高騰の背景と要因
今回の価格高騰の背景には、複数の要因が考えられる。まず、GeForce RTX 5090とRTX 5080の需要が供給を大幅に上回っている点が挙げられる。発売直後ということもあり、初期供給量が限られているため、需要と供給のバランスが崩れている。
また、米中間の貿易摩擦も影響している可能性がある。グラフィックボードの多くは中国で組み立てられているため、中国製品に対する追加関税が価格に転嫁されている可能性も否定できない。さらに、台湾の半導体メーカーTSMCが半導体ウェハの価格を最大15%引き上げる計画もあり、これもGPUの製造コスト上昇につながる可能性がある。
供給回復の見通しと今後の影響
現状、両社のオンラインストアでは、ほとんどの製品が「通知」ステータスとなっており、在庫は極めて少ない。
関係者は、「価格が正常に戻るまで数週間待つか、RTX 5070 TiやRTX 5070の発売を待つのが最善」とコメントしている。
台湾製半導体への関税導入計画もあり、TSMCが半導体ウェハの価格を最大15%引き上げる可能性も指摘されている。これらの要因が重なることで、GPUの価格はさらに上昇する可能性もある。
XenoSpectrum’s Take
今回のASUSとMSIによる大幅な価格引き上げは、ハイエンドGPU市場の深刻な供給不足を如実に示している。ゲーマーやプロのクリエイターにとって、最新GPUの入手はますます困難になりつつある。
半導体不足や物流の混乱、さらには地政学的な要因も絡み合い、GPU価格は今後も高止まり、あるいはさらに上昇する可能性も否定できない。消費者は、購入時期やモデル選定において、より慎重な判断が求められるだろう。
状況が改善されるまで、あるいは下位モデルのRTX5070シリーズが発売されるまで、購入を見送るというのも戦略の一つになるだろう。
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