NVIDIAが、ゲーミング用GPUの製造をSamsung Foundryに委託する可能性が浮上した。The Informationの報道によると、NVIDIAはTSMCへの依存度を下げるため、Samsungとの新たなパートナーシップを模索しているという。
NVIDIAの戦略的転換:Samsungとの新たな関係構築
この動きは、まさにSamsungにとって渡りに船だろう。Samsungは過去数年間、消費電力の問題からNVIDIAとQualcommという二大顧客を失っていた。しかし、今回の戦略的転換により、NVIDIAがSamsung Foundryに回帰する可能性が出てきたのだ。
NVIDIAの広報担当者は、Blackwellチップの生産に関して「生産歩留まりを改善し、スケジュールを調整するための変更を行った」と述べている。The Informationは、TSMCとの関係に亀裂が生じている可能性も指摘している。
コスト削減と製造の多様化:NVIDIAの狙い
NVIDIAがSamsungとの提携を検討する背景には、製造コストの削減という明確な目的がある。報道によると、NVIDIAはTSMCの価格と比較して20〜30%の割引を目指して交渉を進めているという。
ゲーミングGPUは高い需要があるが、現在NVIDIAが注力しているAI向けGPUに比べれば製造が簡単であり、Samsungでも可能という判断なのだろう。AIアクセラレーターチップの製造をTSMCに依存する一方で、ゲーミング用GPUの製造をSamsungに委託することで、製造の多様化を図ろうとしているとも考えられる。これは、サプライチェーンのリスク分散という観点からも理にかなった戦略と言える。
TSMCは近年、先端プロセスノードの価格を引き上げており、顧客には受け入れざるを得ない状況が続いていた。NVIDIAの動きは、この状況に一石を投じるかも知れない。
Samsung Foundryの巻き返しなるか
Samsung Foundryにとって、NVIDIAとの提携は大きなチャンスとなる可能性がある。Samsungは5nm、7nm、8nmプロセス技術で複数の顧客を獲得していたが、3nmおよび4nm技術では十分な顧客を確保できていなかった。
世界で初めて3nmチップの製造に成功したにもかかわらず、歩留まりの問題から大手顧客の獲得に苦戦していたSamsungにとって、NVIDIAとの提携は技術力向上と信頼回復の絶好の機会となるだろう。
Samsungが歩留まりを改善し、QualcommやNVIDIAのような大手顧客にサービスを提供できるようになれば、半導体製造業界の勢力図が大きく変わる可能性がある。
Source
- The Inoformation: Nvidia and TSMC’s Lucrative AI Alliance Shows Signs of Stress
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